オスカー・ニーマイヤー展 エピローグ 官能の椅子
さて、最後のコーナー:エピローグでは、プロローグ同様、ニーマイヤーの官能的な椅子が展示されている。
まずは、アルタ・アームチェア/Alta Arm Chair。
ふっくらとしたボリュームのある座面と背。それをおおらかに支える曲線の脚。
いかにもニーマイヤーらしく、豊かな抱擁感のある椅子だ。
木材成型合板と革のクッションによるイージーチェア(安楽椅子)。
いかにも座り心地が良さそうな豊かなシートクッションと接合部が美しい。そして熟考されたディテール(細部)に、見入ってしまう。
ここでも思ったのが、建築家がデザインする椅子は、その人の建築・デザインに対する考えが凝縮されていること。
この椅子に関するニーマイヤー自身が描いた面白いイラストが展示されている。
同時代の建築家、それも20世紀建築界の巨匠と言われるル・コルビジェ(フランス)、ミース・ファン・デル・ローエ(ドイツ)とマイヤーの椅子のイラスト。
上がコルビジェのLCシリーズ、真ん中が、ミースのバルセロナチェア、そして下が、ニーマイヤーのアルタチェア。
いずれも超名作椅子として君臨するイージーチェア(安楽椅子)である。それぞれの椅子は、デザイナー(建築家)の考えや思考が表れている、から面白い。
もう一脚、ある。
まるで、優美なポーズをとる女性が横たわっているような椅子:マルケーザ・ベンチ/Marquesa Bench
非対称の両サイドの肘を持つ椅子。垂直線の座からクる~りと巻きおさまる肘にかけて細まっていく「厚さから薄さ」が、とても官能的。
ちなみに、Marquesasとは、南太平洋、ポリネシア東部にある火山島群。12の島からなり、1842年以降フランス領。この諸島のヒバ・オア島で1903年に画家:ゴーギャンが没したところ。
ブラジルの近代建築の父、ブラジルの世界遺産をつくった男、ル・コルビジェとの共同製作、家具デザインから建築までデザインするオスカー・ニーマイヤー。
とにかく、官能的な美しい造形が印象的だ。
長寿ながらも没したニーマイヤーだが、こうして私たちに残してくれた建築、家具を通し、現代建築や家具デザインに語りかけてくる言葉、重く深いものがある。
来年、2016年のリオデジャネイロでオリンピックが開催される。世紀の祭典と言われるオリンピック同様に、その地:ブラジルでエネルギッシュに建築デザインした20世紀最後の巨匠建築家と賞賛されるニーマイヤーのデザインが、熱く語られることは間違いないだろう。
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■今回の関連リンク
→東京都現代美術館
【オスカー・ニーマイヤー展オフィシャルサイト】
→石川 尚のオフィシャルブログ
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