日本の国内線を運航する「LCC」
成田を拠点として広島、佐賀への国内線を運航するLCC、Spring Japan(春秋航空日本)。他のLCCが就航していない都市なのもあり、大手よりも安い運賃で乗ることができて利用者に好評です。通常よりお得な運賃を販売するキャンペーンも積極的に実施しています
日本では、2012年3月にデビューしたピーチ・アビエーションが、日本で初めての本格LCCという位置づけです。同年にジェットスター・ジャパン、エアアジア・ジャパン(のちのバニラエア)も運航を開始し、2012年は“LCC元年”ともいわれます。2014年8月、Spring Japan(春秋航空日本)が国内線に就航しました。
ピーチ・アビエーションが就航する以前、日本における航空規制の緩和を機に、スカイマークやAIR DO、ソラシドエア(旧スカイネットアジア航空)などの低運賃の新規航空会社(前ページで言う独立系航空会社)が参入しました。特に、スカイマークは海外LCCのビジネスモデルにならい、サービスの簡素化を導入するなどLCCにきわめて近いビジネスを展開しています。
【参考記事】
■LCC「Peach」 サービスと使いこなし
■LCC「ジェットスター・ジャパン」 サービスと使いこなし
■LCC「バニラエア」 サービスと使いこなし
■LCC「Spring Japan」 サービスと使いこなし
海外「LCC」との比較 欧州「ライアンエア」搭乗レポ
いまや欧州各地をくまなく網羅するLCC、ライアンエア。とにかく安価な運賃で利用者が多い反面、交通アクセスが不便な空港の利用、高い各種手数料、サービス面などでのコスト削減を「徹底」しており、ライアンエアの評判は常に賛否両論です
欧州でメジャーなLCCといえば、ライアンエア、イージージェット、ウィッツエアなどです。日本よりも早くLCCが登場して普及しているだけあり、サービスほかあらゆる面で先行しています。ライアンエアに乗った時の体験談です。
■ライアンエア:
フランス・パリ(ボーヴェ)→イタリア・ローマ(チャンピーノ)
ライアンエアは、パリではシャルルドゴール空港でもオルリー空港でもなく、最も遠いボーヴェ空港を拠点としています。ボーヴェ空港までパリ中心部から空港バスで1時間超。パリの雰囲気などまったくない田舎に突然、空港が現れました。ターミナルは簡素な平屋プレハブ建て。チェックインカウンターは人件費削減からかスタッフの数は少なく、長蛇の列です。航空券は30ユーロ(約4,500円)ほど。
LCCでは、自宅やオフィスなどでプリントアウトした紙がそのまま搭乗券になります。これを印刷し忘れ、チェクインカウンターで60ユーロ(約8,000円)を請求されました。LCCによっては請求されない場合もありますし、日本のLCCで追加料金を取られたことはありませんが、追加料金で稼ぐ手法はLCCならでは。泣く泣く支払いました。
早朝の便だったので、大きな遅延はなし。客層はほぼ全員がレジャー目的らしき人々です。ボーディングブリッジがない空港なので、搭乗はターミナルから徒歩。機材は、ライアンエアで統一されているボーイング737-800で、全席が自由席でした。追加料金を支払うと先に搭乗でき、自分の好きな席に座ることができます。シートピッチは狭く、シートポケットもなく、機内誌は客室乗務員が配布ののち回収、「安全のしおり」は持ち帰らないようにシートに取り付けられていました。コスト削減の徹底ぶりが垣間見られました。
ローマでの利用空港もメインのフィウミチーノ空港でなく、チャンピーノ空港。ここでもボーディングブリッジはなく、徒歩での移動です。空港バスに乗って30分ほどで、ローマ・テルミニ駅に着きました。
ライアンエアは、運賃の面では、日本のLCCと距離相当で比べるとかなり安いです。一方で、サービスの簡素化などを徹底しています。搭乗券の再発行料の徴収、自由席化と優先搭乗の有料化、シートポケットの撤去、「安全のしおり」固定化など、日本のLCCではまだ導入されていない部分も多々見られました。
LCCを使う時のポイント
日本に就航するLCCでも、手荷物ルールや運賃体系などは随時変更されています。今後、各社の動向には要チェックです。なお、日本に先駆けてLCCが普及する欧米では、「ビジネスはレガシー(大手)、レジャーはLCC」という考えが一般的に定着しています。大手よりもデメリットが多いのは、「安いから致し方ない」と割り切り、レジャーや帰省などで主に利用するのが賢明でしょう。