アドバイス1 4人の教育費は十分用意が可能
ご心配の教育費ですが、結論から言えば、お子さん4人分、しっかり用意できると思います。現在の貯蓄ペースで毎月の収入から約10万円。また、昨年はボーナスから貯蓄ができませんでしたが、支出の多くを占めたのは、新車購入の代金や出産関連費用、入学費用など、毎年発生しない、いわばイレギュラーなもの。したがって、今後は少なくとも150万円程度は貯蓄に回せると考えていいでしょう。すると年間の貯蓄ペースは270万~300万円。3人目のお子さんが大学に入学するのが7年後。それまでに2000万円貯められることになります。
1~3人目のお子さんの大学にかかる費用を仮に500万円とすれば計1500万円。1人目のお子さんは私立高校ですが、2人目、3人目のお子さんが高校まで公立なら十分足りる金額を、今ある貯蓄に手を付けることなく用意できます。
また、4人目のお子さんに関しては、すでに満期金1000万円の学資保険に加入されている。したがって、こちらの教育費もほぼ心配しなくていいということになります。
加えて言うなら、ご相談者は現在、育児休業中で復帰すれば、10万円ほど手取り月収が増える。さらにご夫婦とも昇進の可能性があり、世帯年収が2000万円超になるとのことですから、これも大きなプラス要因です。
アドバイス2 奨学金利用は「最後の手段」と考えよう
現金が少ないということが、ひとつ心配の要因かと思います。確かに、大学入学後は卒業まで毎年まとまった支出が発生します。しかし、同時に収入も貯蓄ペースも十分高いのですから、大きく減った分がすぐにカバーできる。それが、この家計の強みです。「使いながら、貯めながら」というお金の流れだと考えてください。もちろん、何が起こるかわかりません。何らかの理由、事情で収入ダウンとなってしまう可能性もゼロではないでしょう。とは言え、ご相談にある「奨学金の利用」は最後の手段と考えてほしいと思います。奨学金利用にも利点はありますが、それ以上にお子さんが抱える負担が大きい。社会に出る前から数百万円の負債を背負うのです。できれば利用しない、したとしてもできる限り少額にとどめるということが大切でしょう。
ちなみに奨学金の利用条件はご質問にあるように、収入の制限があります。日本学生支援機構へ大学入学前に申し込む場合、無利息の第1種で目安となる世帯年収(控除前所得)が896万円以下、上限3%の利息が発生する第2種で1274万円以下(給与所得者でかつ5人世帯の場合。世帯人数が増えるほど上限幅が高くなる)となっています。現時点では、第2種なら利用が可能ということになります。
アドバイス3 老後資金づくりは確定拠出年金を活用
先の試算は、あくまで「貯蓄ペースが維持される」ことが条件になります。家計管理がおろそかになり、支出が無駄に膨れ上がれば、教育資金づくりはきびしくなるかもしれません。ただ、ご相談者は過去にいろいろ不遇があり、お金の面で苦労されています。それをここまで立て直したのですから、その点は心配ないでしょう。家計管理についても、節約を徹底すれば、もっと貯蓄ペースは上がります。しかし、収入も高く、まとまった額の貯蓄ができている。細かい部分は気にせず、それよりも、仕事を持ち、お子さん4人を育てていかなくてはならないのですから、健康管理を優先することが重要。病気やケガが家計の最大のリスクと言えるでしょう。また、ストレスをためないよう、適度にお金を使う、家族で楽しむといった工夫をしながら、家計管理をしてみてください。
最後に保険でひとつ、ご相談者が職場復帰後に個人年金保険に加入したいとのことですが、私は不要だと思います。老後資金を貯めるなら、それ用に定期預金をすれば十分でしょう。あるいは、職場で確定拠出年金を活用(なければ個人型)して、節税の恩恵も受けながら老後資金づくりをした方がはるかに効率的だと考えます。
教えてくれたのは……
深野 康彦さん
取材・文/清水京武
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