食と健康/健康的な体型づくりと食生活

知っていますか? 肥満と肥満症の違い(2ページ目)

日本では、30歳台以上の男性3人に1人が肥満です。肥満は生活習慣病につながると見られていますが、肥満と肥満症は意味が異なります。あなたはご存知でしたか。

南 恵子

執筆者:南 恵子

NR・サプリメントアドバイザー / 食と健康ガイド

体重減少で生活習慣病も改善

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肥満症は、健康障害があり治療が必要となります。

肥満にも、原因によって症候性肥満と単純性肥満があり、症候性肥満は内分泌系や遺伝、脳の異常などが原因で起こり、全体の5%程度。

特別な病気が原因でなく、摂取エネルギーが消費エネルギーを上回ることでおこる肥満を単純性肥満といい、全体の95%がこのタイプだと見られています。

つまり多くの肥満の場合は、食べ過ぎや運動不足などが原因でおこり、肥満になりやすい生活習慣を見直すことで予防できると考えられます。

特定健診・特定保健指導の効果分析結果によると、積極的支援該当者に特定保健指導を実施した1年ごとの検査では、優位にデータが改善。体重減量率との関連で見ると、3%以上の減量で血圧、血糖、脂質等の明らかな改善がみられている、と報告されています

では、肥満を予防・改善するために、食事の面ではどのようなことに気をつければよいのでしょうか。肥満症の食事療法については、エネルギー量のコントロールについて食事や運動など、個別に詳細な指導が必要となりますから、ここでは一般的な肥満の予防・改善についてのポイントをまとめます。

■栄養の偏りなく、バランス良く食べる
肥満を防ぐには、当然食べ過ぎないことです。ただ気になるのは、日本人のエネルギー摂取量は年々減少している傾向にあるのですが、肥満は減少していまるわけではありません。欧米型の食生活により動物性脂肪の摂取量が増えていることや、菓子類や清涼飲料水の過剰な摂取が肥満と関連性があるという報告もあります。

「ダイエットによい」というキャッチフレーズに惹かれて同じものばかり食べていると、栄養に偏りが起こります。栄養素は体の中でお互いに助け合って働きますから、幅広い食品から様々な栄養成分をバランス良くとりましょう。主食や主菜、副菜と、和食の一汁三菜を目安にするとわかりやすいでしょう。特にビタミンやミネラルは体内の代謝を促すために不可欠ですし、食物繊維は糖質やコレステロールの吸収を穏やかにします。

できるだけエネルギー量の低いきのこや海藻、こんにゃくなどを上手に使い、また脂の多い肉や油を多く使う調理を控えめにする、薄味を心がけるなどもポイントです。

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■夜遅くに食べすぎない
体内時計の調節機能を持ち、脂肪を蓄積する働きがある「BMAL-1」というたんぱく質は、夜の10時~深夜2時ごろに最も生成されて、脂肪を活発に蓄積しようとします。同じものを食べても、午後2~3時頃は、「BMAL-1」が少ないので、「おやつ時」に完食するのは理にかなったことです。深夜たくさん飲食するのは控えめにしましょう。

勤務時間などもあり、すべての人ができるとは限りませんが、夜の食事が遅いと朝ごはんが食べにくくなることもあります。食事を抜いたり不規則な食事も整体リズムを崩して肥満につながるのではないかと考えられています。

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■よく噛んで食べる
食べ始めてから脳の満腹中枢が働くまでは約20分かかるため、よく噛んでゆっくり食べることが過食の防止につながります。またよく噛むことは内臓脂肪の燃焼にもつながり、またゆっくり食べることは消化管ホルモンの一種であるインクレチンの分泌がより高まると考えられています。インクレチンには満腹感の持続する作用があるといった研究もあります。

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■アルコールは適量に
アルコールは、適度な量なら健康にも役立つ面があります。ただアルコールから得られるカロリーは、エンプティカロリーといわれ、アルコールは体内で分解されるため直接肥満の原因にはならないのですが、肝臓で分解される過程で、中性脂肪の合成を促進するとみられています。

またビールには揚げ物など、脂質や蛋白質の多いつまみがよくあい、また飲酒後のラーメン、お茶漬けなど、肥満になりやすい習慣をつくりやすいので、ほどほどにたのしむことを心がけましょう。

近年は、炭水化物の摂取量を抑える「糖質制限食(低炭水化物食)」が注目されています。短期的には減量や血糖コントロールの改善につながるようですが、効果や安全性についてはまだまだ明らかではない部分があります。同様に「脂質制限食」などについても、個人の症状や体質、生活習慣などによってタイプが異なりますから、医療機関での専門家の指導のもとで、行うようにしましょう。

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食生活の面だけでなく適切な運動、夜型生活の改善、ストレスを上手にコントロールするなど、生活全般を見直すことも肥満を防ぐためには重要なことです。肥満が気になる方は、できることから取り組んでみましょう。


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参考/
・肥満と生活習慣病(一般社団法人 日本臨床内科医)
・日本肥満学会の「肥満症の診断基準と治療ガイドライン」の最前線(一般社団法人 日本肥満学会)
・『Obesity Repot vo.1』(一般社団法人 日本肥満症予防協会)
・標準的な検診・保健指導プログラム(改訂版)及び健康づくりのための身体活動基準2013に基づく保健事業の研修手法と評価に関する研究平成25年度研究報告
その他

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