十代の頃から才能は輝いていた!
『あの日、欲望の大地で』(2008年度作品)高級レストランに勤務するシルヴィア(シャーリーズ・セロン)は仕事はできるが、男なら誰とでも寝てしまう。その理由は彼女の過去にさかのぼります。
彼女の名前がマリアーナ(ジェニファー・ローレンス)だった十代。マリアーナの母(キム・ベイシンガー)は不倫をし、勘のいい娘は察知します。しかし、彼女は不倫相手の息子と恋に落ちてしまうのです。そして母と不倫相手は逢引の場であったトレーラーの炎上で焼死してしまい……。
人間関係が複雑なので、一瞬とまどいますが、現在と過去、それぞれのエピソードに引き込まれてしまうので、人間関係の謎は次第に紐解かれていきます。親子二代で許されない恋に落ちてしまう運命、幼い過ちが人生に深い影を落とす……など、重く暗いけれども人間の業を描いていて実に見応えがあります。
ジェニファーは弟たちの面倒を見るしっかり者の姉。そんな彼女が、母の不倫を知ったことで心に火が付き、彼女自身もいけない恋に落ちてしまう。大人っぽい一面とまだ子供な一面が見事に同居していたジェニファーのマリアーナ。この映画の名演で、ジェニファー・ローレンスは映画人からの注目を集めるのです。
監督:ギジェルモ・アリアガ 出演:シャーリーズ・セロン、キム・ベイシンガー、ジェニファー・ローレンスほか
『ウインターズ・ボーン』(2010年度作品)
アメリカ・ミズーリ州の山脈地帯に住む17歳のリー(ジェニファー・ローレンス)は病んだ母と弟と妹の面倒を見ながら生活しています。父はドラッグ密造で逮捕され、保釈された途端、行方不明。警察は家が保釈金に担保になっているから、父が見つからないと家を失うと告げられ、彼女は父の行方を探すことに。けれど、近所の人は何か知っている様子なのに教えてはくれない。父親の身に何が……。
またもや弟妹の面倒をみるしっかり者の姉をジェニファーが演じています。でも今度は恋に落ちることなく、父親探しに奔走。危険な目にあったり、絶望したりしながらも、決して諦めない姿に胸が熱くなります。
まだ17歳なのに楽しみは皆無。まさに一家の大黒柱のように働き、家族のピンチに立ちあがらなければならない彼女は、嫌でも大人にならないといけない。その運命を受け止めて、感情を抑制して、強がっている姿がもう切なくて。ジェニファーが初めてアカデミー賞主演女優賞候補になった作品です。
監督:デブラ・グラニック 出演:ジェニファー・ローレンス、ジョン・ホークス、シェリル・リー、デイル・ディッキー、ギャレット・ディラハントほか
>お次はアカデミー賞主演女優賞受賞作と助演女優賞候補になった傑作2本です。