迷いやすい言葉!「ご挨拶」や「ご遠慮」などの「ご」は付けてもいいの?
「ご挨拶をご遠慮申し上げます」などの「ご」の意味、用法を知り、迷いをなくしましょう
喪中はがきで「喪中につき新年のご挨拶をご遠慮申し上げます」という表現や、メールや手紙、挨拶などの際に「ご連絡申し上げます」「お知らせ申し上げます」というような言い方をする場合があります。この「ご遠慮」や「ご挨拶」「ご連絡」「お知らせ」などの「ご」や「お」について迷うという方が案外多いと聞きます。
つまり、自分が挨拶や遠慮・連絡・知らせなどをするという行為に対して、「ご挨拶」や「ご遠慮」「お知らせ」というように、「ご」や「お」を付けるのはおかしいのではないか、「先生からのご挨拶」や「ご遠慮ください」のように相手の行為に使うのが正しいのではないかというような点が迷う理由のようです。はがきやメールを出すときになって迷ったり、または出してから間違いだったのでは?と気になったりすることがないように、よく用いられるこれらの表現についてきちんと見直してみましょう。
■「ご挨拶をご遠慮申し上げます」は○?×?
結論から申しますと、まったく問題ない正しい表現です。まず、「ご挨拶」から見直しましょう。「先生からのご挨拶」といえばこれは尊敬語の意味の「ご挨拶」になります。一方ここで使われる「ご挨拶」は、謙譲語の意味の「ご挨拶」となり正しい用法です。つまり自分の行為に「ご」を付けて尊敬語にしているのではなく、「(あなたへの)ご挨拶」という意味の謙譲語の使い方になります。そして「ご遠慮」ですが、こちらも「ご挨拶」同様に正しい用法です。喪中はがきなどの場合に、はがきを出さないことを「遠慮」ととらえるかどうかという点で、気になるという場合もあるようです。こちらはとらえ方の個人差があるかもしれませんが、「遠慮」とは言葉や行動を慎み控えること、または辞退することなどの意味をもちますから、その意味でも正しいわけです。年始の挨拶に伺うこと、(ひいては)年始の挨拶・はがきも控える、お許しいただくという意味で使われているものと感じます。そのような意味をこめて、「ご遠慮」のほかに「失礼申し上げます」などが用いられるのでしょう。いずれにしても問題のない正しい用法の「ご挨拶をご遠慮申し上げます」ですが、それ以外によく使われる喪中はがきの文例と言葉と、メールや手紙で使われる「ご挨拶申し上げます」などと同じ形の例を見てみましょう。
■喪中はがきで使いたい正しい敬語の使い方と文例
喪中につき新年のご挨拶をご遠慮申し上げます○月○日に○○○○が○○歳にて永眠いたしました
本年中に賜りましたご厚情に感謝いたしますとともに
明年も変わらぬご厚誼のほどお願い申し上げます
平成○○年○○月
そのほかの表現
年末年始のご挨拶をご遠慮申し上げます/年頭のご挨拶を控えさせていただきます/新年のご挨拶を失礼申し上げます/天寿を全ういたしました/大往生を遂げました/ご厚誼に深謝申し上げます/ご厚誼に感謝申し上げます/ご高誼を深謝申し上げます/時節柄どうぞご自愛のほどお祈り申し上げます/寒さに向かいます折どうぞ御身おいといください……など。
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そして、「ご挨拶をご遠慮申し上げます」と同じように「お(ご)~申し上げる」の形で、手紙や挨拶で使われる言葉の例をいくつかも見てみましょう。
「ご挨拶をご遠慮申し上げます」と同様の形で使われる例
お電話申し上げます/お知らせ申し上げます/お見舞い申し上げます/お願い申し上げます/おわび申し上げます/お喜び・お慶び申し上げます/御礼申し上げます/ご通知申し上げます/ご連絡申し上げます……など。
いずれもみな「お(ご)」を付けても良い、正しい例です。メールやはがき・手紙、そして対面での挨拶など、よく使われる「お(ご)○○」や「お(ご)○○申し上げます」などの言葉ですが、いつでも迷うということがないようにときには使い方や意味を見直してみましょう。
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