子育て/子育てに役立つ最新心理学

現代の子育ての難しさとは?親が気を付けるべき3つのこと

現代生活の中での子育ての難しさは、きっとだれもが感じているはずです。今日は、物があふれる時代だからこそ出会う子育ての難しさの問題と、親が気をつけたいポイントを3つピックアップし、子育て心理学を交えながらお伝えしていきます。

佐藤 めぐみ

執筆者:佐藤 めぐみ

子育てガイド

現代生活の中での子育ての難しさ問題

現代の子育ての難しさとは?親が気を付けるべき3つのこと

現代ママが気をつけていきたい3つのポイントとは?

今は昔より生活が格段に便利になりました。洗濯も掃除も、食器洗いだって家電がやってくれる時代です。でも、どんどん楽になってきているはずなのに、なぜか心はちっとも楽になりません。むしろ、パサパサに乾いてしまっている感じがします。

子供たちもそう。ゲームやテレビなど、24時間では消化しきれないほどに楽しいグッズがいっぱいです。でも、いじめや暴力の件数は、毎年のように「史上最悪」と記録が塗り替えられ、昔の子と比べると、確実に悩みは増えています。

物にあふれる時代は、便利なようで、いろいろ不便なのです。現代ゆえの子育ての難しさは、だれもが感じているところですが、今日は、子供の心理発達に影響を及ぼしやすいものから3点ピックアップし、お伝えしていきたいと思います。
 
<目次>
 

現代の子育てで気をつけたい3つのこと1. ご褒美による悪影響

今の子供たちは、物をもらう機会が、昔と比べ格段に増えています。おじいちゃん、おばあちゃんからかわいい孫へ。ファミレスでは帰りにお土産つき。子供たちは物をもらうことに慣れています。親もそれに加担していて、「○○できたら、~~を買ってあげるね」とご褒美作戦を多用しがちです。しかし、ご褒美は利用の仕方を間違えると、効果がないばかりか、逆にその子のモチベーションを下げてしまう恐れがあることが分かっています。
 
  • ご褒美の多用で起こりうる問題
    →やる気の低下
  • 子育て心理学で解説
    ご褒美をクセにしてしまうと、内なるやる気が失われ、物でしか動けない子になってしまいます(アンダーマイニング効果)。
    大きな目標達成のためには、高価なご褒美が必要なのではありません。ほめ方、ご褒美の使い方をマスターすることの方がもっと大事。子供の内なるやる気を引き出すことができるようになります!
 

現代の子育てで気をつけたい3つのこと2. 点数主義

今は競争社会で格差社会です。これまでにないほど、大人も子供も数字で評価される時代です。それにより、親はついテストの結果などで子供を判断してしまうことがあります。たしかに100点の方がいいです。だから100点のときに親が嬉しく思うのは当然です。しかし、100点のときと60点のときで、その子の受け入れ方を変えてしまうと問題に。もし「100点だからうちの子はいい子」「60点のときはダメな子」としてしまうと、その子は、いい時の自分しか受け入れられなくなってしまいます。
  • 点数主義で起こりうる問題
    →自己肯定感の低下
  • 子育て心理学で解説
    子供は「悪いこと」はしますが「悪い子」ではありません。「困ったこと」はしますが「困った子」ではありません。その子を「○○な子」とひとくくりに否定すると、自己否定感が芽生えてしまうので注意が必要です。
 

現代の子育てで気をつけたい3つのこと3. エンターテインメント過多

子供の家での楽しみ方も変わってきています。時間があれば、ゲームかテレビという子も少なくありません。解禁した当初は、「1日○分」のような決まり事があっても、年齢とともにエスカレートし、収拾がつかなくなっているご家庭もあります。
当初は、「親も息抜きできるし、子供も楽しい」とメリットを感じることが多いエンタメ系。でも、数年後には、それがママのイライラの原因になったり、叱りの的になったり、と頭痛の種になりがちです。
  • エンタメ過多で起こりうる問題
    →アタッチメント不足、コミュニケーション不足
  • 子育て心理学で解説
    現代の子供が夢中になる遊びには、独特の世界観があります。“ゲームと自分”という閉ざされた空間では、親子の会話が減ってしまいます。子供が親に求める精神的な絆(=アタッチメント)は、量よりも質が重要なので、家にいるのに、家族全員やっていることがバラバラでは、アタッチメントにはつながりにくいのです。本来あるべきスキンシップやコミュニケーションを怠ると、後々問題につながっていきますので、子供たちが楽しんでさえいればOKという見方は危険です。
 

育児は目に見えないものに価値がある

前述した3つの問題「やる気減退」「自己肯定感の低下」「アタッチメント不足」どれも今の日本で問題になっているものばかり。特に、諸外国との比較調査で最下位となっている自己肯定感は早急に取り組みたい問題ですし、子供が絡む暴力や犯罪対策として親との絆不足は解消していかねばなりません。

便利な時代だからと物に頼ってしまうと、うわべだけで中身がない子育てになってしまいがち。子育て心理学の研究で分かっているのは、
  •  ご褒美よりも、ほめることの方が大事
  • 100点よりも、頑張ったこと、集中できたことの方が大事
  • 高価なおもちゃよりも、抱っこや笑顔などの温かみが大事
ということ。

気づきましたか? どれも大事だとされるのは、物質的ではないものばかり。物が豊富なゆえに起こしがちな錯覚こそ、現代育児で気をつけなくてはいけないポイントなのですね。

子供って、シンプルな部屋やただの砂場など、物のない場にいるときほど、クリエイティブな遊びをしていることってありませんか? 本来、子供は何もないところから何かを生み出す想像力に長けています。物を与えてしまうと、その力を阻んでしまいかねません。

物があふれる時代だからこそ、上手く使い分けたり、切り捨てたりすることが大事なのだと思います。今回取り上げたポイントは、次の記事でそのノウハウについて触れています。ぜひご参照ください。

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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※乳幼児の発育には個人差があります。記事内容は全ての乳幼児への有効性を保証するものではありません。気になる徴候が見られる場合は、自己判断せず、必ず医療機関に相談してください。

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