アドバイス1 今は苦しい時期と割り切って考える
家計を拝見すると、データでは毎月の収支は若干の黒字となっていますが、実際は車両費がもっとかかる(車検や税金、保険など)はずですし、細かな生活雑費が発生することも考えられます。相談者のペンペンさんが言われるように、毎月赤字となっているのでしょう。ただ、学資保険の代わりとして終身保険に加入されていますから、それを貯蓄と考えれば毎月の収支はほぼトントンとも考えられます。それでも、今後を考えれば、保険=貯蓄としなくても、十分家計が黒字になることを目指していくことが必要となります。
では、どう家計を見直すべきか。現状では、支出で改善が見込めるのは通信費。2人で月2万3000円は、プランを見直すなどの工夫をすれば数千円程度は下げられるはずです。しかし、それ以外はそれなりに抑えられています。これ以上、生活を切り詰めるのは逆に良くないと言えるかもしれません。
お子様が生まれたばかりということを考えれば、今は貯蓄が難しい時期。年間で赤字を出さない家計でも良しと割り切ってもいいのではないでしょうか。
アドバイス2 奥様の収入は全額貯蓄に回す
したがって、今後の家計改善のポイントは収入アップとなります。お子様が3歳になったら奥様が働かれるとのことですので、そこから家計は貯蓄体質になっていくはずです。「夢のマイホーム」についても、それが実現するかどうかは、奥様の働き方次第。パートなのか正社員なのか、収入はどの程度なのか。それによって、貯蓄ペースが大きく変わってくるからです。たとえば、お子様が小学校に入学する時期にマイホーム購入とするなら、あと7年。奥様が3年後から働き始めますから4年間は貯蓄可能です。その間、奥様の収入はほぼ全額貯蓄に回す。その結果、年間100万円貯められるとすれば計400万円。
手元に残す資金や住宅購入にかかる諸経費を考えれば、実際に頭金に回せるのは200万円ほどですが、それでも「夢」だったマイホームが、ぐっと現実のものとなってくるはずです。さらに1年、2年と貯めていけば、その分、頭金も上積みされます。また、奥様の働き方次第では、貯蓄額をもっと増やせる可能性があります。購入できる住宅の選択肢も広がっていくでしょう。
世帯の収入アップという点では、ペンペンさん自身の働き方についても考えていいのでは。現在の職種はわかりませんが、今の職場で収入アップが望めないなら、転職も視野に入れていいと思います。
転職に有利な資格を取得したいのであれば、まずは安価に取得できる方法を探す。学校に通うなど、ある程度の支出が発生するなら、終身保険から定期保険に切り替えて、浮いた保険料をそちらに充てる。大事な教育資金づくりのための終身保険ですが、確実に収入アップが見込めるなら、取り崩した分は十分回収できるはずです。
アドバイス3 継続していけば投資は大きく増やすことも可能
投資については、確かに毎月1000円を投資に充てても、すぐに資産状況が改善するわけではありません。しかも投資にはリスクがあります。逆に減ってしまう可能性も十分あるわけです。では、投資は意味がないかと言えば、そうとも言い切れません。大事なのは継続です。ペンペンさんが60歳となるまでの27年間、仮に年3%で運用できたとします。
毎月2000円を投資していけば27年間で原資である64万8000円は99万6000円に増えています(税金は考慮せず)。月5000円なら162万円が249万円に、月2万円なら648万円が996万円になるわけです。
たとえ毎月は少額でも長い時間が元手を大きくする。それが投資効果です。もちろん、誰でも必ず3%で増やせるわけではありません。まずは投資について学びながら、少額でコツコツ続けていく。そのことは決して無駄ではありません。
最後にもうひとつ。これまで親御さんの負債や生活費を負担したため、貯蓄がなくなったそうですが、現状はどうなのでしょうか。今後もそういう事態になれば、ペンペンさんのご家族のライフプランにも大きく影響してきます。ある程度の負担は親御さんに頑張ってもらうことも必要。そういう点も踏まえながら、事前によく話し合っておくことが大切でしょう。
教えてくれたのは……
平野 泰嗣(ひらの やすし)さん
取材・文/清水京武
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