1.ダニエル・クレイグの『007』第4作目!
ダニエル・クレイグの『007』第4作目
この過去3作は続きものであり、今回の『スペクター』はキャラクター造形からクライマックスの展開まで、シリーズの集大成とも言える内容になっています。ですので、可能であれば過去3作を予習(復習)しておいたほうが、より楽しめるでしょう。
もし「予習する時間なんてない!」という人は、つぎの2点を抑えておきましょう。
・今回のボンドではかつて愛した女性にまつわる“後悔”が描かれている
・ミスター・ホワイト(イェスパー・クリステンセン)という敵が再登場する
以下の予告編(特報)で「君は嵐のなかで踊るだけの凧だよ、ミスター・ボンド(You're a kite dancing in a hurricane Mr. Bond)」と語りかけているのがミスター・ホワイトです。彼の行方が気になっていた人、『007』シリーズのファンは、彼の告白に衝撃を受けるのかもしれません。
2.今回のボンドも相変わらず未熟?
ちょっと未熟なボンド?
さすがに『スカイフォール』では少し成長がみられたかな……と思っていたら、残念(?)ながら『スペクター』でもけっこう抜けているところがあります。ボンドは相変わらず無鉄砲で、他人を信用していない、独善的な態度を取っているシーンすらあります。
とくに、序盤でビル・タナー(ロリー・キニア)が「そこは滑るから気をつけろよ」と注意したときのボンドの行動に注目してみてください。「相変わらずダメだなこいつ」と思ってしまうかもしれませんが、やがてとある“成長”が描かれるので、期待しましょう。
ちなみに、前作から継続してQ(ベン・ウィショー)とマネーペニー(ナオミ・ハリス)も登場。彼らは前作以上にしっかりしているので、ボンドよりも年下ではあるものの精神的には大人っぽいですね。
Q役のベン・ウィショー
3.組織“スペクター”が再登場
タイトルにあるスペクターとは、シリーズ初期にボンドの敵として登場した組織の名前。“ブラックオクトパス”の紋章が象られた指輪は、スペクターに所属する悪役がはめているものとなっています。そこでシリーズのファンが気になるのは“ブロフェルド”がどうなるのか? ということでしょう。ブロフェルドとはボンドの宿敵とも言える存在で、“白いペルシャ猫を膝に抱きかかえながら登場する”ことでおなじみ。映画『オースティン・パワーズ』シリーズのドクター・イーブルというキャラがパロっていたことでも有名なので、なんとなく知っている方も多いかもしれません。
しかし、じつはスペクターおよびブロフェルドは権利関係のトラブルにより、『007/ダイヤモンドは永遠に』(1971)以降では登場しなくなってしまいました。なので「今回、ブロフェルドが登場するのか?」については……観てのお楽しみです。
また、44年ぶりに復活するスペクターがいかなる組織へと変貌をしているかにも、注目しましょう。
4.長編映画では史上最高齢のボンド・ガールが登場
レア・セドゥ
メインでボンドと行動をともにするレア・セドゥももちろん魅力的ですが、注目してほしいのはモニカ・ベルッチ。彼女は1964年生まれで、現在51歳なのです。
モニカ・ベルッチ
ちなみに、そのモニカ・ベルッチを超える高齢のボンド・ガールが存在します。それはエリザベス2世。
2012年に行われたロンドン五輪の開会式で上映されたショートフィルムにおいて、ダニエル・クレイグ演じるジェームズ・ボンドが彼女をエスコートしていました。そのときのエリザベス女王は86歳です。
5.史上最高額の制作費も納得! 困難な撮影現場
本作の制作費は2億4500万ドルから3億ドルと、『007』シリーズの最高額となっています。なぜそんなにお金がかかったのか? と問われれば、理由のひとつとして撮影の困難さがあげられます。本作のオープニング、メキシコシティで“死者の日”を再現するシーンでは、100人以上のメーキャップアーティストと、1200人を超えるエキストラを動員し、全員の準備を整えるだけでも3時間半の時間を費やしました。
膨大な数のエキストラ
過酷な撮影現場
ちなみに、本作の上映時間は『カジノ・ロワイヤル』の144分を超える、148分。約2時間半、ゴージャスな映像が続くお腹いっぱいになれる作品に仕上がっていました。鑑賞前のトイレは必須です。
6.魅力的すぎる悪役は、名優のクリストフ・ヴァルツ
映画ファンにとって見逃せないのは、本作から登場する謎に包まれた男・オーベルハウザーをクリストフ・ヴァルツが演じるということでしょう。『イングロリアス・バスターズ』(2009)や『ビッグ・アイズ』(2014)でも、すさまじい存在感を見せた彼が、今回は恐るべき策略を企てながらも“余裕”を見せる強烈な悪役を演じきっています。
とくに演技で「ヤバい!」と思えたのは、彼の“ある鳥のマネ”ですね。サム・メンデス監督ならではの陰影のある画作りも相まって、何ともゾクゾクさせられました。
7.シリーズ原点回帰の1作に
前述したように、本作はボンドの宿敵となる組織スペクターが再登場する作品であり、そのほかにもアストンマーチン、ウォッカ・マティーニ、腕時計というガジェットなど、初代ショーン・コネリーの時代から受け継がれた“おなじみ”のアイテムが多数登場します。ファンであればあるほどニヤリとできるでしょう。また、ダニエル・クレイグ版の『007』では初めて、冒頭に“ある試み”がなされています。これも原点回帰の強い表明であるとともに、これ以上のないファンサービスです。
シリーズの過去を知るのにオススメの1作
最後に……本作でスペクターという組織について知りたくなった方には、『女王陛下の007』(1969)をお勧めします。『女王陛下の007』は、アクションや舞台に今回の『スペクター』と似ているところがありますし、ファンからもベスト作品であると評価の高い、重要な1作。いま観ても決して古臭くない、シリアスなボンドの原点とも言える作品を、ぜひ堪能してみてください。
<作品情報>
『007 スペクター』(読み:ダブルオーセブン)
11月27日(金)、28日(土)、29日(日)先行公開
12月4日(金)より、TOHOシネマズ日劇ほか全国ロードショー
監督:サム・メンデス
主題歌:サム・スミス「ライティングス・オン・ザ・ウォール」
出演:ダニエル・クレイグ(ジェームズ・ボンド)/クリストフ・ヴァルツ(フランツ・オーベルハウザー)/レイフ・ファインズ(M)/ベン・ウィショー(Q)/ナオミ・ハリス(マネーペニー)/レア・セドゥ(マドレーヌ・スワン)/モニカ・ベルッチ(ルチア・スキアラ)/イェスパー・クリステンセン(Mr.ホワイト) /アンドリュー・スコット(マックス・デンビー)/デイヴ・バウティスタ(ヒンクス)
SPECTRE © 2015 Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc., Danjaq, LLC and Columbia Pictures Industries, Inc. All rights reserved.
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
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