2015年 相葉裕樹さんインタビュー
相葉裕樹 87年千葉県出身。ミュージカル『テニスの王子様』で舞台デビュー。『PIPPIN』タイトルロール、『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』シーモア役、『ラ・カージュ・オ・フォール 籠の中の道化たち』『CLUB SEVEN』シリーズなどの舞台、映画、TVで活躍。近年は声優の仕事にも取組み、演技の幅を広げている。(C)Marino Matsushima
私たちが観るどの舞台の背後にも必ず存在するのに、“実際どんな仕事をしているのか”ほとんど知られることのない、裏方の人たち。そんな彼らのリアルな姿(?)を、「あるブロードウェイ・ミュージカルの一回限りの地方公演の仕込み(舞台搬入)からバラシ(撤収)まで」を通して描くのが、今回登場する『HEADS UP!』です。
原案・作詞と演出はラサール石井さん。舞台監督役の哀川翔さん、相葉裕樹さんはじめ、橋本じゅんさん、大空祐飛さん、中川晃教さん、入野自由さん、青木さやかさん……と多彩な顔触れが「何かが起きそうな予感」を抱かせますが、実際のところ、どんな舞台になりそうでしょうか。近年、『ラ・カージュ・オ・フォール 籠の中の道化たち』『CLUB SEVEN』シリーズなどでみずみずしい演技を見せ、今回も哀川さんの後輩役に体当たり中の相葉さんにうかがいました。
「誰も見たことがない」タイプの、
画期的なミュージカルが生まれる予感
――タイトルの“HEADS UP!”とは、いわゆる“業界用語”でしょうか?「僕の演じる新藤祐介という新人舞台監督が、半年間研修してきたブロードウェイで覚えてきた言葉で、仕込みの時に頭上から何か落ちてくるかもしれないから気を付けろ、という意味です。祐介は今回が舞台監督デビューで、はじめは“僕にはできる”と暗示をかけているけれど、次々にトラブルが押し寄せてきて、うわーっとパニックになりかける。果たして舞台の幕は無事に上がって、無事に降りるのか?というストーリーの中でこの“HEADS UP!”がタイトルに使われているのは、もともとの意味合いと、何があってもくよくよしないで頭を上げていろよ、というダブルの意味合いが込められているんじゃないかと思います」
――台本を初めて読んだ時の第一印象は?
「“舞台の仕込みからバラシまでを見せるお芝居”なんて、いまだかつて聞いたことがなかったので、“これをどうやってミュージカルとして成立させるんだろう”とまず思いました。オリジナル作品だし、大変そう。でも、誰も観たことが無い面白いものが作れるんじゃないか、と感じました」
HEADS UP!
「1幕(の演出)がざっくりついたかな、というところですね。大枠はできたけれど、これからどんどんブラッシュアップしていくという段階です」
――本作は“ミュージカル”ですが、ミュージカルの枠にとどまらない、実に多彩なキャストが集結されていますね。
「本当に個性豊かな先輩方ばかりですね。Vシネマ界のスターだったり、ミュージカル界のスターも、芸人さんもいらっしゃいます。いろんな世界のスペシャリストの皆さんが集まっていて、各々の世界観が確立されているので、稽古のたびに刺激を受けています。そして仲はいいけど皆さん本当に個性が強いので、不思議な空気感です。これだけのキャストが集まっていると、もうそれだけで舞台が成立してしまうけれど、そうではなくて、ストーリーをしっかりお客さんに届けよう、と団結しています」
――先輩舞台監督役の哀川翔さんは、今回が初ミュージカルなのですね。
「翔さんは本当に自由な方で、ちょっとした言葉で場の空気を和やかにしてくださっていますね。僕らが稽古前にストレッチしていたら、“何してるの、運動会でもするの?”って(笑)。でもしばらくしたら翔さんも稽古着で発声練習をされていて。個人的には稽古着を着ない翔さんで貫いてほしかった気もするんですけど(笑)」
*『HEADS UP!』トーク、次頁にまだまだ続きます!