ブラジルの世界遺産をつくった男、
建築家:オスカー・ニーマイヤー(Oscar Niemeyer)
この宇宙船のようなもの、ご覧になったことがあるだろうか?これは、れっきとした「建築物」。
それも、20世紀最後の巨匠建築家がデザインしたブラジルにある建築だ。
建築家の名前は、オスカー・ニーマイヤー(Oscar Niemeyer)。
ブラジルの近代建築の父、ブラジルの世界遺産をつくった男、ル・コルビジェとの共同製作、家具デザインから建築までデザインするニーマイヤー・・・とにかく、官能的な美しい造形が印象的な建築家だ。
彼の建築や存在は知っていたが、長年もっと詳しい情報がないものかと思っていたところへ、『朗報』きたる、だ。
日伯外交樹立120周年を記念して、日本初の大回顧展開催
2016年のリオデジャネイロでのオリンピック開催を前に日伯外交樹立120周年を記念して、オスカー・ニーマイヤーの日本での初回顧展が開催された。(会期:2015年7月18日~2015年10月12日)圧倒的存在感の建築や家具、そしてスケール感あふれる模型の数々のよる展覧会展示風景を通し、ニーマイヤーの建築、家具デザインの魅力をお伝えしたい。
会場は、地下鉄半蔵門線:清澄白河駅から徒歩9分、精悍な構えの東京都近代美術館。
1FからB1へエスカレーターで降り、右手に入って最初のコーナー:プロローグでは、彼のプロフィール紹介がされている。
女性の体の曲線を彷彿する”色気のある”ロッキングチェア
ここで、いきなり目に入ったが、1974年に彼がデザインした「ロッキングチェア」。木材成型合板と藤によるロッキングチェア。ル・コルビュジェ(ペリアン共同デザイン)のシェーズロングと同じ匂いを感じる。しかし、この椅子は、女性の体の曲線を彷彿する”色気のある”ロッキングチェアだ。
いかにも座り心地が良さそうな豊かな曲面と接合部が美しい。それでいて、プロダクト(生産する)為に熟考されたディテール(細部)があり、思わず見入ってしまう。
常々思うのだが、建築家がデザインする椅子は、その人の建築・デザインに対する考えが凝縮されている、から面白い。
オスカー・ニーマイヤーのそのひとつは、「官能的なライン」だ。
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