食べ物とニキビの関係はほとんど証明されていない
さまざまな情報がネット上にあふれていますが、食べ物とニキビの関係はほとんど証明されていません
ある特定の食べ物の効果を調べるには、ほかの条件を同じにしなければなりませんが、ほかの食べ物すべての摂取をコントロールするというのはほぼ不可能です。そんな中でもニキビとの関係がよく取り上げられているのが、血糖が上がりやすい(高炭水化物の)食べ物、乳製品、チョコレートです。
血糖を上げやすい食べ物はニキビを悪化させる
数ある食べ物の中で、最も医学的にニキビと関係が深いとされているのが、血糖を上げやすく、高炭水化物の食べ物です(パン、コーンフレーク、白米、ポテト、クラッカー、ピザなど)。西洋化されていないパプアニューギニアの人々にはニキビがない、ということから、西洋化したカロリーの高い食べ物がニキビの原因になるのではないかと推測されています。そのほかにも、低炭水化物の食事を3ヶ月続けたところ、高炭水化物の食事を続けた場合よりもニキビが減ったというデータがあります。ではどのようなメカニズムで血糖とニキビが関係しているかというと、血糖を上げやすい食べ物を摂取すると血中の糖分を抑えるためにインスリンが体の中から出て、それによりIGF-1というニキビを悪化させる物質が増えてしまう、というのが原因として考えられています。
血糖を上げやすいパンやポテトといった高炭水化物食はニキビを悪化させることがある
牛乳や乳製品
牛乳や乳製品についても、過去のアンケート調査や研究結果でニキビとの関連が指摘されています。6000人以上の思春期の女性で3年間調査を行ったところ、牛乳の消費とニキビに関連があるというデータが出ています。ただ、高炭水化物食ほどデータが蓄積されていないので、今後さらに研究が必要とされています。牛乳の摂り過ぎはニキビに悪いという報告がある
チョコレート
チョコレートがニキビに悪い、というのは思春期にニキビで苦しんでいた方であれば一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。私も経験上はチョコレートを食べてもニキビができる印象はもっていなかったので、本当なのだろうか?と思っていました。世界的にこのことはよく指摘されていますが、実際その証拠となるようなデータは高炭水化物食や牛乳よりも少なく、医学的には証明されていません。ただし、100%カカオのチョコレートを食べる試験を行ったところ、ニキビが増えたという最近のデータも有り、牛乳と同様にさらなる研究が望まれています。チョコレートがニキビに悪いというウワサは医学的には証明されていない
では結局食べ物はニキビを悪化させるのか?
血糖を上昇させるような、つまり高炭水化物食はニキビができやすい場合には避けたほうがいいと言えます。牛乳やチョコレートに関しては避けた方がいい、というほどのデータはないので、日常生活ではそれほど気を使わなくても大丈夫でしょう。ただし、牛乳もチョコレートも多量に摂取すれば血糖が上がります。いずれにせよ多量に一度に飲食するのは避けたほうがいいと言えます。食べ物は処方薬とは違って試験を行って効果がある、効果がないという判定をしにくいので、医学的にデータを蓄積しにくいという側面があります。また、人それぞれ同じ食べ物を食べた場合にも、反応は異なります。そのため、「辛いものを食べたあとにニキビができる」、「チョコレートを食べると毎回肌が荒れる」など自分で経験的に知っている場合は、その食べ物は避けた方がいいでしょう。