プランニングの中でも忘れがちな自転車置き場
一戸建てのプランニングの際、建物本体ばかりに気を取られ、外まわり(エクステリアや造園など)はどうしても後まわしになりがち。しかし、外まわりは、住まいのプランと同時に検討しないと、使い勝手やデザイン性はもちろん、安全性などに影響する場合もあるものです。特に、アプローチや駐車スペースは、ゾーニングや動線などを充分に検討したいスペース。その中でも、忘れがちなのが、自転車置き場ではないでしょうか。専用の駐輪スペースを確保せず、暮らし始めてから、どこに置けばいいのか、困るケースも多くみられます。すっきりとしたモダンなデザインはどんな外観にも馴染む。 [LIXILカーポートSC ミニ 21-29型 柱・梁:ブラック 屋根材:シャイングレーF] LIXIL
スペースを確保しないと住まい全体が乱雑な印象にも
家族構成やライフスタイルなどにもよりますが、子育て世代であれば、何台もの自転車を保有しているケースも多いでしょう。専用の駐輪スペースがないと、「子供が門扉近くや玄関前に置きっぱなしにしてしまい、来客時にも困る」「狭いカーポートの隅に置いたら車を傷つけてしまった」などという声も。また、スペースを設けたとしても、「道路から遠くで出入りがしにくく、結局使わなかった」とか「重ねて立てかける広さしかなく、奥の自転車が出しにくい」「屋根がないので雨ざらしで錆びついてしまった」といった不満を持つ場合もあるでしょう。一戸建てをプランニングする際には、置きやすく使いやすい駐輪スペースを確保しておかないと、外まわりが乱雑な印象となってしまったり、道路際などでは、危険なケースもあるものです。
台数や使用方法などを明確にし、必要なスペースを確保する
使いやすい駐輪スペースをプランニングするためには、まず、将来的な増減も含めた自転車の数はもちろん、誰が、どのくらいの頻度で使用するのかを明確にしておくことが基本。その上で、エクステリアのプランの際に、必要なスペースを確保するようにしましょう。一般的な普通自転車のサイズは、全長190センチ、幅60センチ以内。大雑把に言えば、家族3人が使うのであれば、幅180センチぐらいは必要になってくるということになります。それぞれが出し入れしやすく、道路への行き来もしやすい幅を確保できるのが理想でしょう。
ポリカーボネートの屋根を持つサイクルポート。車止めバーがあれば、チェーンを使用でき盗難防止にも。 [レイナポートグラン ミニZ 基本セット:51-21 屋根ふき材:ポリカ (アースブルー) 車止めバー付 H2] YKK AP
床の仕上げ、屋根などにも配慮を
屋外の駐輪スペースの床は、コンクリートやレンガ、タイルなどで仕上げる、もしくは、芝生や砂利などを敷く方法などが考えられます。泥はねせず、移動しやすいような素材としておくことが大切でしょう。また、プランニングにもよりますが、屋根や庇を設けるなど、雨風をよける工夫も検討しておきたいもの。台数が多かったり、出し入れが頻繁なのであれば、転倒を防ぐ車輪止め(自転車スタンド)を設けてもいいでしょう。
自転車置き場プランの種類と特徴
自転車スペースをどのようにプランニングするかは、建物の配置や間取りプランによってさまざまですが、考え方としては、いくつかのパターンに分類することができます。外まわりに専用のスペースを確保する、駐車スペースと一緒にプランニングする、サービスヤードに設ける、また、建物内(玄関など)にスペースを確保するという方法も。いずれも場合も、道路から行き来しやすく、置きやすいことが基本でしょう。
■外まわりに専用のスペースを確保する
屋根を設けた自転車専用のスペースを確保することで、住宅のファーサードも美しくまとまる。 [フーゴFパーク 29-18型 シャイングレー/クリエラスク(屋根材:クリアマット)] LIXIL
■駐車スペースと一緒にプランニングする
比較的プランニングしやすいのは、駐車スペースに組み込んだり、隣接させたりするプラン。ただし、自動車の近くに設けたり、車のすぐ脇を自転車が通り抜けるようなプランとすると、車に傷をつけてしまうことがあるので注意が必要です。
余裕を持たせてスペースを確保するか、自転車が行き来する通路を別に計画するなどの工夫を。エクステリアメーカーの商品には、大きめの屋根を持つカーポートもありますし、柱を挟んで車と自転車スペースを分けたタイプなどもみられます。また、ガレージであれば、内壁に設置できるようなラックを取り入れてもいいでしょう。
駐車スペースを利用して、自転車置き場を確保しても。 [防火戸ガゼリアN アルミ樹脂複合タイプ ビルドインガレージ外観 シャイングレー] LIXIL
自転車のスペースの多くは、門扉や玄関、駐車スペース付近にみられますが、サービスヤードに置き場を設ける、という考え方もあります。
サービスヤードとは、勝手まわりの庭のこと。一般的には、キッチンや勝手口の周辺に設けられる屋外スペースを指し、主に家事に関わる物の収納や作業をするスペースです。屋根を設けることもメーカーからは、サンルームのような空間商品もみられます。
道路への動線などにもよりますが、自転車を買い物などに用いることが多いのであれば、裏庭スペースに自転車のスペースを確保しておくのも便利な場合もあるでしょう。
庭に設けた多目的な囲いスペースに自転車置き場を設置。[サンフィール3 テラス囲い スタンダードタイプ 床納まり+土間納まり アール型 屋根ふき材:ポリカ (トーメイマット) 部分囲い H2] YKK AP
自転車に乗ることが趣味であったり、整備なども自分で行う場合などであれば、外に置くのではなく、建物本体に専用のスペースを組み込む方法もあります。
たとえば、玄関の三和土を広くとりスペースを確保したり、広めの土間収納(シューズインクローク)などに置くことができるように工夫しても。また、寒冷地や風の強い地域などでみられる風除室(玄関・勝手口囲い)にスペースを設ける方法もあるでしょう。雨や風の心配もなく、防犯性も高いのがメリット。自転車が傷むことも少ないでしょう。
自転車置き場にも、さまざまなプランニングが考えられますが、暮らしの中で自転車をどのように使用するか、日々の使い勝手などをイメージした上で、住まいの配置や間取りと同時に検討することが重要です。サイクルポートなど、エクステリア建材を取り入れるのであれば、事前にショールームやカタログで確認しておくようにしましょう。
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