男女とも年収減以上に消費を抑える結果に
5年ごとに実施される総務省の「全国消費実態調査」の結果が9月末に発表されました。この調査は、平成26年の10月、11月に行われており、同年の4月に消費税が5％から8％へと増税されています。そのため、過去のデータとの比較では、その分を考慮すべきですが、増税分については数値データとして差し引けないため、発表されたままのデータを使用して、紹介していきます。(関連記事『40歳代シングル女子の平均貯蓄額は959万円！？』もご参照ください)
男女別・消費支出
まず、全体の消費支出について見ていきましょう。単身者世帯のうち勤労者世帯に絞ったデータを抽出しています。男女ともに収入が前回調査から総じて減少してします。その減少幅以上に消費支出が抑えられているのが、今回の最大の特徴です。特に男性は、収入の減少がマイナス5.1％なのに対して、消費支出はマイナス13.2％と大幅に削減されています。
なかでも注目すべきなのが、食費のうち、外食費。前回よりもマイナス21.0％と節約志向が顕著に表れています。また、男性は、家具・家事用品でプラスになっていますが、それ以外の費目ではすべてマイナス。交通、通信の削減は、フリーSIMなどの利用が普及し、男性ならではの削減の工夫があったのかもしれません。一方、女性に関しては、男性と同じように、収入の減少以上に消費を抑えてはいますが、男性とは異なり、交通・通信費、その他の消費支出、交際費などで、増加するなど、お金の使い方にメリハリがある結果となっています。
ちなみに、通信費については、携帯電話通信費をみると、どの年代も前回調査より増加しており、金額では40歳未満が7459円で最も多いのですが、増加率では50歳代がトップ。また60歳代以上でも増加しています。携帯電話代の家計支出に占める割合が年々高くなっているとは言われていますが、このデータからも実感することとなりました。
携帯電話代
外食費削減については、中食が増えていることや、飲み会などを控える傾向があったかもしれません。外食費のうち、飲酒代を見てみると、前回の調査から、40歳代以下の年代で大幅に減少しています。飲み会を1、2回減らすといった印象の金額です。ただし、やはりここでも、女性は外食は減らすものの、先のデータにあるとおり、交際費は増加という結果になっており、収入が減少したとはいえ、外向きの消費行動が消極的になったわけではなさそうです。
飲酒代
40歳代、50歳代の女性の消費行動が活発
ひとつ、おもしろいデータがあります。女性の消費支出の動きです。前回平成21年と今回の年代別消費支出をグラフにしてみると、この5年で山が動いているのがわかります。前回、40歳代が消費支出額トップだったのが、今回50歳代に移動しています。まったく同じ人が調査対象ではありませんが、世代として、消費行動に積極的な層がひとつ年代が上がり、現在50歳代。そう。バブル時代を経験した女子です。現在のアラフォーも消費意欲が高いと言われていますが、バブル経験者のパワーは衰えず、といったところでしょうか。
消費支出・女性
同じデータを男子で見ると、40歳未満での消費の落ち込みが大きいのが目立ちます。実質増減率ではマイナス18.5％と男女各年代のなかでも突出した減少率となっています。
消費支出・男性
男性の黒字額が大きいが、果たしてその行く末は？
今回は、単身世帯の消費動向の全体像を見てきましたが、最終的に収支を見ると、全体平均での黒字額は約6万5000円。男性は実に9万5000円近くの黒字となっています。女性は収入が少ないけれど、消費は男性以上ということで、黒字は2万3000円程度にとどまっています。これらの黒字は、きちんと金融資産に回っているのでしょうか？ これについては、次回、金融資産の保有内容を紹介しながら見ていくことにしましょう。【関連記事をチェック】
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