大人のコンパクトは輸入車頼み
気づけばこんなに値落ちしていて「おいしい!」という中古車をご紹介しているこの企画。今回はアウディA1(現行)をご紹介したいと思います。デビューは2011年1月。全長4m以下、フィアットパンダやミニ、アルファロメオミトといった個性派が揃うBカテゴリーに、初めて参入したアウディのコンパクトカーです。デビュー当時は3ドアのみ。新車時価格は289万円でした。
国産で同じカテゴリーとなるとトヨタヴィッツや日産マーチですから、2倍近くのプライスとなります。それを高いと感じるかどうかですが、「小さいから安い」という日本の従来の固定観念を突き崩しているのが輸入車ばかりというのは、個人的には少し寂しい感じがします。
例え小さくても、走りの性能に手を抜かず、快適性や安全性を高める装備を備え、内外装の仕上げにこだわれば、どうしても価格は高くなります。ちなみに日本では輸入車に対する関税はゼロ。つまり本国と日本での販売価格に差はほとんどありません。
さて、確かに国産車にはライバルはいませんが、輸入車では先述のように手強いライバルが何台もいます。そこでアウディが取った手法は、真っ向勝負。「アウディのコンパクトカーですけど、それが何か?」といわんばかりの作戦です。
まず吊り目のヘッドランプやシングルフレームグリルがアウディであることを主張。あとはサイドから見た時に弧を描いたルーフアーチが目を引くくらいで、フィアットの500やミニのような「小さい=愛くるしい」というキャラクターとは一線を画す戦略です。
ここがA1の魅力の1つだと思います。例えばミニは外観こそ愛くるしいけれど走って楽しいから、男性が乗っても全く違和感はありませんが、だからといって外観が愛くるしい車しか選択肢がないのも……というところに、クールなA1が割って入ったという感じでしょうか。
特に日本においては、国産車と比べて価格も高いゆえ、初めての一台として若い人が手を出すというよりは、都心に住む子育てを終えた世代が夫婦二人、あるいはまだ子どものいない若い夫婦などが輸入車のBセグを考えることが多いと思います。そういう方々に愛くるしさではなく「クール」で訴えるのは、やはりまっとうです。
加えて、アウディという今イケイケのブランドイメージと、内外装のクオリティの高さという、いわゆるプレミアムなイメージが、フィアットやプジョーといったイタ・フラ車にはない魅力になります。
それがいくらから狙えるのか。走行距離5万km以下で修復なしを調べてみると、原稿執筆時点での最安値は128.8万円。2012年式/4.6万kmで十分新車時の半額以下です。
ちなみに2013年には5ドアのA1スポーツバックもデビュー。こちらも原稿執筆時点で144.7万円(2013年式/3万km/修復歴なし)と、新車時(293万円)の半額以下でした。
使い勝手の良さでは5ドアでしょうが、そもそも夫婦二人でプレミアムなコンパクトに乗るなら、3ドアではないでしょうか。だいたい二人で乗るのに、後席のドアは不要ですよね?
ヴィッツやマーチよりもなぜA1は高いのか。次ページで詳しく見ていきましょう。