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あなたの市場価値を高めるコミュニケーションの要諦

ダイバーシティーの世の中、さまざまな価値観を持った人を組織が吸収しています。働きやすい職場環境を構築し、多様性を認め、その多様性による化学変化を期待してのことでしょう。しかし、その組織もいつ何時破綻するかもしれません。組織に安住することなく、常に健全な危機感を持って、自らの市場価値を高めたいものです。今回は、自分の市場価値を高めるコミュニケーションについて考えてみましょう。

豊田 健一

執筆者:豊田 健一

総務人事・社内コミュニケーションガイド

自らの職歴の棚卸をする

話をしている様子

健全な危機感を持ち、市場価値を高めるコミュニケーションを試みたいもの

市場価値を高めるには、そもそも武器がないとはじまりません。 あなたの持っている武器を、他の人が欲しがるものとして見える化しないといけません。しかし、市場価値が高いように背伸びをしたところで、他の人には見透かされます。その道のプロが見れば一発です。ですから、自らが経験したものをベースとして強みを見える化しないといけません。

そのためには、自らの職歴の棚卸をします。過去にどのような仕事に従事して、その結果、どのようなスキル、ナレッジを持っているかを棚卸してみましょう。その際、大事なのは、同じような経歴の人と比較することなく、客観的に棚卸をすることです。

「いやあ、私なんて、いままで何もしていないですから」
「人に誇れることなんて、何もないですから」
「営業しかしていないですよ」

別に数十年経験してなくても、数年であっても、真面目にコツコツと仕事をしていれば、得ているものはなにかあるはずです。先の会話をする方々の多くは、同じような仕事をしている人との比較の上で、そのように答えていることが多いものです。

確かに、同じ仕事をしている先輩や、優れている人と比較してしまったら、そのような答えになるかもしれません。しかし、あなたの市場価値を認めてもらうには、見るべき方向が違っています。あなたのスキルの未経験者、あなたのスキルを欲しがっている人に向かうべきなのです。

コミユニケーションの要諦その1
コミュニケーションする中身の精査をします。自らの経験を同じ経験を持つ人との比較をせずに、淡々と見える化します。

大切なのは、誰に向かうか

個人の市場価値について、ある薬剤師の方とお話したときのことです。確かに、薬剤師としての資格を保有しているという市場価値はあります。でも、他の薬剤師の方との差別化はあり得ないし、普通ですよと、そんな会話でした。

しかし、いろいろとお話しているうちに、知り合いのご高齢の方から、薬の保管の仕方や、選び方、薬に関するいろいろな質問がプライベートで寄せられるとのこと。その都度、専門知識をフル活用して対応していると。確かに、同じ薬剤師と比較したら、誰もが同じ知識を持ち、その中では差別化できません。しかし、このように、その知識を欲しがっているターゲットが見つかれば、その世界では、あなたは必要とされる人となります。つまり、誰に対してあなたのスキルを売り込むか、その売り込み先を見つけられるかが重要となります。

私の例でお話しましょう。社内コミユニケーションという分野の仕事ともに、『月刊総務』の仕事もしています。ターゲットはもちろん企業の総務です。有益な情報、旬な情報の提供が大事な仕事となります。その総務に対しては、『月刊総務』もアプローチしていますが、総務に売込をかけるサプライヤーさんも総務にアプローチしています。総務に営業しています。

総務に営業するということは、総務のことを知っている方がやりやすいはずです。そこで、いま私は、総務を攻める営業向けに総務のことを知る勉強会の講師をしています。総務向けの情報を持ちながら、逆を向いたわけです。営業向けに総務の知識を売り込んだのです。このように、持っているスキルやナレッジを誰に売り込むかで、市場価値が生じるのです。

コミユニケーションの要諦その2
コミュニケーションをする相手、ターゲットを選びます。誰に向いて自分の武器を見せるか、売り込むかが大事です。広い視点で見渡すことが大切です。そのターゲットは必ず見つかるはずです。
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