高利回りの資産は大幅に減少
高い利回りが魅力のファンド
JPモルガン・アセット・マネジメントの調査によれば、2008年秋のリーマンショック以前には、年間5%以上の利回りを獲得できる債券は、全体の40%程度存在していたのですが、2015年6月末現在では全体の6%程度まで減少しているのです。
言わずと知れた世界的な金融緩和の長期化がその背景ですが、もはや単一の資産、あるいは私たちがよく見聞きする資産だけでは十分なインカムゲインを獲得するには難しくなっているのです。インカムゲイン狙いの運用でも、幅広い資産へ分散投資を行う必要が高まっているのです。
とはいえ、個人の限られた投資資金では幅広い資産へ分散投資するにも限りがあり、また市場環境に合わせて資産配分(アロケーション)を変えて行くのは至難のワザと言わざるを得ません。
そこでJPモルガン・アセット・マネジメントが運用する「JPMベスト・インカム」のような、インカムゲインに着目した投資信託を活用するのです。
徹底した分散と機動的な運用
JPMベスト・インカムは、世界のさまざまな資産クラスの中から、高いインカムゲイン及び値上がり益が期待できる資産に投資が行われます。同ファンドはファンド・オブ・ファンズで運用が行われ、主な投資対象はグローバルインカムファンドになります。2015年8月末基準のマンスリーレポートによれば、グローバルインカムファンドの投資先は、先進国株式、リート、ハイ・イールド債券のほか、優先株式等や非エージェンシー・モーゲージなど個人が直接投資を行うことができない資産も投資対象にしています。ちなみに、非エージェンシー・モーゲージは、主に住宅ローンを担保に発行された証券で、エージェンシー(公的機関)以外の民間が発行する証券になります。
組入銘柄数は1820銘柄に及ぶ幅広い分散投資が行われ、ポートフォリオの平均利回りは4.9%。2014年9月の設定来、4%以上の利回りが提供されています。グローバルインカムファンドの資産クラスの変遷をみると、目まぐるしく変わる市場環境の中で、機動的にポートフォリオの資産組入資産の内容やその構成比率が変化していることがわかります。
為替ヘッジが行われている
アロケーションタイプのバランス型ファンドでも為替ヘッジを行っていない商品が多い中、同ファンドは原則為替ヘッジが行われています。近年、為替のボラティリティ(価格変動率)が大きいため、為替の影響により基準価額が大きく変動するケースが多くなっています。結果として、短期間で収益を失ってしまうことになりかねないのです。そこへ行くと、為替ヘッジを行うことで為替リスクを排除したうえで、どのくらいのリターンが期待できるのかの目標を立てやすいと考えられます。安定的なインカムゲインの確保を考えるならば、為替リスクを抑えることが有効な戦略と思えてなりません。
同ファンドには、年1回決算型と毎月決算型が用意されていますが、資産形成層は年1回決算型、定期的に収益を得たいリタイア層は毎月決算型と使い分けるとよいでしょう。中国の景気後退などを背景に世界的に市場の乱高下が続いていますが、過去1年の騰落率は約マイナス1%未満に留まっています(2015年9月18日現在)。
安定した収益を期待して資産運用のコアファンドとして期待したい商品と言えそうです。