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天龍が引退試合でオカダと闘う本当の理由

11月15日、両国国技館における天龍源一郎の引退試合の相手がオカダ・カズチカに正式決定しました。天龍は昨年4月、筆者のインタビューで怒りを込めてオカダとの対戦を熱望しましたが、それが引退試合で遂に実現するのです。なぜ最後に時代の最先端のトップに立つオカダと闘うのか? 天龍の本音に迫ります。

小佐野 景浩

執筆者:小佐野 景浩

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11月15日の両国国技館における引退試合でオカダ・カズチカと一騎打ちを行うことを発表した天龍

有限実行!オカダを追い詰めた天龍

11月15日、両国国技館で39年のプロレス人生(11月13日で40周年)に別れを告げる天龍源一郎。大相撲の元前頭筆頭からプロレスに転向して昭和、平成を生き抜いてきた”ミスター・プロレス”が引退試合の相手に選んだのは時代の最先端を行くトップスター、オカダ・カズチカでした。この試合は天龍の悲願でもあったのです。

天龍がオカダ戦を口にするようになったのはプロレス大賞MVPを2012年&13年の2年連続で受賞したオカダが、それまでMVPを連続受賞しているアントニオ猪木(76~78年の3年連続&80~81年の2年連続)、ジャンボ鶴田(83~84年の2年連続)天龍(86~88年の3年連続)について「猪木選手、鶴田選手、天龍選手、その3人は僕と同じ時代じゃなくてよかったなと。同じ時代だったら、そんな記録はできていないと思いますので、僕よりも大分、前の時代にプロレスラーとしてそういう記録を取れたことを、僕に感謝してほしいなと」とコメントしたからです。昨年4月の筆者のインタビューでも天龍は怒りをもってオカダ戦を訴えていました。(『龍の逆鱗に触れたレインメーカー』http://allabout.co.jp/gm/gc/441988/参照)

「俺は新日本プロレスのレスラーじゃないんだから、そんなことは通用しないよ。キャラなのか、自惚れなのか、本心なのかは知らないけど”自分が吐いた言葉には責任を持てよ”ということだよ。俺にしてみたら、コケにされたらリングでケリをつけるしかないでしょ? 俺にとっては降りかかってきた火の粉を払うだけの話。猪木さんもジャンボも現役じゃないけど、俺は現役だからね。その言葉を見過ごすわけにはいかないんだよ」というのが天龍の言い分でした。

しかし新日本プロレスもオカダも黙殺しました。「腰部脊柱管狭窄症を手術した天龍が平成のトップリーダーのオカダと対戦するのは無理がある」という空気があったのも事実です。それでも天龍は諦めませんでした。引退試合の日程が決まると新日本プロレスの事務所に交渉に行き、最終的には8月16日の新日本・両国国技館に乗り込んでオカダに直談判したのです。

「おい、昭和のプロレスを味わう最後のチャンスだぞ、この野郎!」と迫る天龍に対してオカダは例によってクールに「天龍さん、引退されるそうですね。お疲れ様でした。天龍さんにひとつだけ言わせてください。…僕と同じ時代じゃなくてよかったですね」と言い放ちましたが、天龍がなおも「おい、アンチャン、吐いたツバは飲み込めねぇぞ! 飲み込めるとしたら11月15日しかねぇんだよ、この野郎!」と迫ると、遂に「天龍さん、11月15日…どうなっても知らないですよ。それでもいいならやりましょう!」と受諾。天龍の迫力に押されることなく、堂々と受けて立ったオカダも大したものです。

オカダはクールな発言を貫いているものの、04年8月29日に弱冠16歳でデビューし、12年にレインメーカーとしてブレイクするまで7年半近く下積みを経験しているオカダが偉大な先輩にリスペクトの気持ちを持っていないはずがないのです。
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