旅行貯金とは何か?
前回の記事では、シンガポールの国際切手展についてお伝えしましたが、今回は日本に話題を移して、郵便貯金から生まれた趣味である旅行貯金をテーマにしたいと思います。旅行貯金とは、旅先でさまざまな郵便局を訪れて、100円や1000円といった少額の貯金をしながら、それぞれの郵便局に用意されているゴム印などのハンコを集める趣味のことで、郵貯ラリーや記念貯金と呼ぶ人もいます。この記事では、まず旅行貯金という趣味の概要についてまとめます。その後、旅行貯金歴50年を超える竹之内康雄さんに、その魅力についてお聞きしたいと思います。
旅行貯金の起源とは
郵便局を訪ねて回る旅行貯金の起源はよくわかっていませんが、大きくは2つの流れがあるのではないかと考えられます。1つには切手収集家の「局めぐ」です。切手収集家が風景印などを取るために郵便局を巡ることを「局めぐ」などと言い、その一環として郵便貯金が行われる場合もあります。なお、「局めぐ」については関連記事がありますので、そちらをご覧ください。もう1つは鉄道ファンが全国各地の路線や駅を訪ねる中で、旅の記念として地元の郵便局で低額の貯金をすることも行われてきました。鉄道ファンに向けて旅行貯金を広める役割を担ったのがレイルウェイ・ライターの種村直樹さんでした。『日本縦断「郵便貯金」の旅』(徳間書店、1995年)と『気まぐれ郵便貯金の旅』(自由国民社、1997年)といった著作があります。
旅行貯金の愛好家は何人くらい?
いったい旅行貯金を楽しむ人はどれくらいいるのでしょうか。正確な数字はありませんが、旅行貯金愛好家の轟(とどろき)文明さんがケーブルテレビ・CS放送MODO21の「山田五郎アワー『新マニア解体新書』」(2005-2007年)というバラエティ番組の第16回放送に出演した際のコメントの中で、全国に10,000人くらいいるのではないかと推測しています。次のページでは、いよいよ旅行貯金の達人・竹之内康雄さんが登場します!