アドバイス1 目安となる5000万円は十分用意可能
まずはご相談にある、お子さんが2人となった場合の教育資金と老後資金について試算をしてみましょう。まず、2人のお子さんの進路ですが、ともに高校までは公立に進学し、大学は私立に入学したとします。私立大の場合、卒業までの4年間で大学にかかる費用は、文系で390万円、理系で520万円が平均額。どちらに進学してもいいように、大学費用として2人で1000万円とします。それ以外の、高校までの教育費や学習塾、習い事、さらに食費などの子育て費用も含め2人で1000万円とすると、計2000万円が必要となります。
次に老後資金ですが、老後も現在とほぼ同程度の生活をしたとすると、3000万円(老後30年として年間100万円)をひとつの目安と考えました。
そうなると、定年までにトータルで5000万円貯められれば、お子さん2人の教育費と夫婦の老後資金にメドが立つということになります。
現在の貯蓄ペースが年間192万円。しかも、来年3月から奥様の収入が月4万円アップしますから、それを貯蓄に回せば、60歳までの19年間で、今後貯められる金額は途中産休などがあったとしても4200万円前後にはなるでしょう。すでに現貯蓄が1200万円あるわけですから、退職金700万円を含めなくても、目安の5000万円は十分用意できることになるわけです。
アドバイス2 60~65歳の無収入期間が大きな負担に
ただし、この試算は夫婦とも正社員で働き続けると仮定した場合です。相談文によると、2人目のお子さんを出産となっても、「育児休業は難しそう」とのこと。勤務先がそういう環境ではないのか、それともご自身が2人のお子さんを抱えてのフルタイム勤務が難しいのかはわかりませんが、前者であれば十分に職場に確認をした方がいいと思います。ともあれ、2人目のお子さんを出産後、奥様はパートで働くとして、仮に収入を月7~8万円とします。現在の生活費では、毎月の貯蓄は1万~2万円程度に大きく減ります。その出産後が2年後であれば、60歳までに貯められるのは1800万円ほど(現在の貯蓄と合わせて3000万円)。お子さんの教育資金などに2000万円を充てれば、残りの1000万円が老後資金。退職金や保険の解約返戻金を充てて、何とか3000万円に達するというところです。
しかし、この試算にはリスクもあります。ひとつは60歳で定年延長や再雇用の予定はないという点。つまり60~65歳 までの5年間は無収入ということです。その間に発生する生活費は1300万円ほど。65歳の時点で手持ちの資金は1700万円に減ってしまいます。
また、奥様も途中パート勤務になったことで、厚生年金の加入期間が短くなりますから、公的年金の支給額もフルタイム勤務のケースより減ってしまいます。
さらに言えば、賃貸住宅のため、ずっと家賃が発生するという点も不安材料となります。何か大きな支出が発生したとき、家賃のようなまとまった固定支出は大きな家計負担になるからです。
アドバイス3 長く働くことが最大の老後対策
結論としては、奥様が途中パート勤務になると、お子さん2人の教育費は用意できても、老後資金もそれなりにリスクを抱えるということになります。一方、正社員として勤務できれば、老後資金はもちろん、2000万円程度の物件であれば、住宅購入も可能かもしれません。ただし、働き方はこの場では決められません。今は、どういう状況になっていいように貯蓄を継続していくことが賢明でしょう。
また、そうなると、できればより効率的に貯蓄したいところです。そこで家計で気になる点を2つ。まず、保険ですが、夫婦とも医療保険で入院給付を日額1万円としていますが、5000円に引き下げてはどうでしょうか。かかる保険料はほぼ半分に減額できるはずです。入院給付を下げることのできない保険商品であれば、解約して新たな保険に加入し直してもいいでしょう。
もうひとつは、ボーナスからの貯蓄額。もっと引き上げたいところです、たまたま昨年は72万円にとどまったのかもしれませんが、支給額150万円のうち少なくとも100万円は貯蓄に回したい。
家計以外では、60歳以降も働く意識でいることが重要です。夫婦ともパート収入程度でも構いません。65歳、元気であれば70歳でも働く。そのことがもっとも効果的な老後対策とも言えるのです。
教えてくれたのは……
深野 康彦さん
取材・文/清水京武
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