東慶寺~リンドウやジュウガツザクラ咲く「花の寺」
円覚寺の門を出て徒歩5分ほどで、東慶寺へ到着します。趣ある茅葺きの山門へと階段を登って。10月中ごろなら、両脇にリンドウの青い花が咲いているかもしれません。鎌倉市の花はリンドウ。今は自生しているものはほとんどみられなくなりましたが、こうして社寺で育てられたお花に出会うことができます。拝観料を払って、境内へ。10月ごろなら、ホトトギスやシュウメイギク、秋の七草のひとつ・フジバカマの花が咲いているかもしれません。
本堂にお参りしましょう。屋根の面が頂点の一点で集まる、端正な宝形(ほうぎょう)造りの屋根のお堂に、ご本尊のお釈迦さまがまつられています。秋なら、お庭にピンクの金平糖のようなヒメツルソバの花。
本堂の前に戻ったら、すぐ向かいの足元に、色とりどりのノブドウの実がなっていることでしょう。実は緑から紫、紺へと色が変化し、まるで宝石のよう。きれいですが、食用にはならないそう。鎌倉の山にも自生している植物なんですよ。
宝蔵(有料)で、歴史の趣漂う展示を拝見するのもいいですね。毎年2月ごろには、普段は公開されていない、優美な姿の水月観音様が展示されます。坂を登っていきます。花壇が尽きる、井戸の辺りには、ジュウガツザクラが。10月ごろ、楚々と咲くサクラです。
右手の斜面は、6月、イワタバコの薄紫色の星形の花が一面に咲くところ。少し登って、右手の階段を上がっていきます。右手に、やぐらと呼ばれる横穴が2つ並んでいます。左側正面にあるのは、このお寺を開いた覚山尼(かくざんに)のお墓。東慶寺は、「縁切り寺」「駆込み寺」とも呼ばれています。かつて日本では、夫婦がつらい仲にあっても、夫が許さなければ離婚をすることができませんでした。鎌倉幕府8代執権の北条時宗が落髪した折、夫人も尼となり、夫亡き後、東慶寺を建てました。ここで24か月在寺すれば、離縁が認められるという決まりをつくったのです。多くの女性を救ってきた東慶寺。今は、ほっと心癒される「花の寺」となっています。
奥の階段を上っていきましょう。岩についたコケに木漏れ日が差し、しっとりと落ち着いた静かな空間。墓地には、岩波文庫の創始者や哲学者、文学者など、多くの著名な方々が眠っています。
心ゆくまで境内の風景を味わったら、東慶寺を後にしましょう。
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■東慶寺
住所:鎌倉市山ノ内1367
TEL:0467-33-5100
ホームページ:http://www.tokeiji.com/
一足伸ばして…浄智寺へも
10月ごろなら、シュウメイギクの美しい浄智寺に立ち寄るのもいいですね。■浄智寺ガイド記事:http://allabout.co.jp/gm/gc/446689/