理由4:こども心が楽しい
最強の公安と言える新田理(山内圭哉)が変装の名人だったり、ITを駆使した最後の仕掛けが知恵の輪だったり、少年ワールドが広がります。そして、架空のキャラクターであるモフモフンが外交に癒しに大活躍。不安な気持ちの子どもたちはモフモフンのテーマ曲『だいじょうぶ』の歌と踊りで笑顔になり、スヤスヤと眠ります。
”スヤスヤ”は子どもたちだけではありません。総理の秘書である貝原茂平(高橋一生)はナイトキャップとアイマスクで子どものようにスヤスヤ。テーマは政治ですが、童心を思い出す場面がふんだんに盛り込まれた『民王』は子ども心の楽しさも印象的でした。
理由5:はじけ方が楽しい
遠藤憲一のはじけた演技がドラマを盛り上げていることは言うまでもありません。泰山の顔で翔を演じるときのオドオド感、気弱な懇願は遠藤憲一だからこそ楽しいのです。そして蔵本の顔でエリカを演じる草刈正雄の乙女感、フワフワ感も大注目の楽しさです。ベテラン俳優2人が演じる初々しさに笑ってしまいます。個性が際立つ登場人物たちの名演技も忘れてはいけません。妙なこと、ヘンなことがとどまることのない脚本ですが、登場人物たちに躊躇はありません。
動揺しない貝原はまったく隙のない人物で常に冷静、最終回を前にキレッキレですが、自らサラリと裏切りをカミングアウトしました。官房長官の狩屋孝司(金田明夫)は、マイクに向かう角度、話すスピード、歩き方、すべてが日本の政治家。苦渋の表情は格別です。
スパイスが効きすぎている公安の新田のヘンな日本語も気になりますが、変装能力と情報収集能力の突出ぶりはさらに気になります。エリカを演じる知英もオジサンを伸び伸びと演じているところに好感が持てます。
理由6:ストレスフリーが楽しい
総理のSPまで完璧に振り付けを覚えて披露される”モフモフン体操”。登場人物全員で踊る時間は何もかも忘れて楽しめます。miwaが歌うエンディング曲『ストレスフリー』での登場人物たちのはじけ方も爽快。屈託のない泰山の笑顔を見ていると、こちらまで笑顔になり、まさにストレスフリーです。気味の悪さや妙な違和感のない100%カラッと明るいドラマなのです。
いよいよ最終回を迎える『民王』。現実の社会問題も含め、難題に懸命に向かう総理親子の姿と、奇想天外な方法で乗り越えていく過程には心打たれます。「山は動く」と信じる気持ちが、国民である視聴者に芽生えているのではないしょうか。『民王』の笑いとメッセージを心に刻んでおきましょう。