超大物エージェント、異例の直接来日
来日中の超大物代理人スコット・ボラス氏(62)が9月9日、札幌ドームの日本ハム球団球団事務所を表敬訪問し、島田利正球団代表、岩本賢一チーム統括本部副本部長、木田優夫GM補佐ら球団首脳と約30分歓談した。
これは、大谷に対して今後見込まれるポスティング・システム(入札制度)などでの米国移籍に備えた動きだが、この時期に超大物エージェントが直接来日すること自体異例で、大谷の評価が高騰している証拠である。
プロ入り3年目の大谷。現段階ではポスティングでの今オフの移籍可能性はゼロだが、最速162キロの右腕を放っておくわけにはいかない。だからこそ、ボラス氏は早期段階での”接触”を試みたのだ。
動きは水面下で活発化している。大谷が登板した9月2日のロッテ戦、ネット裏にはヤンキース、レッドソックス、レンジャーズなどメジャー計10球団、19人ものスカウトが集結し、大谷に熱視線を送った。その中には、投手としてだけでなく、打者としても高い評価をしている球団もあり、注目度は高まる一方。これらの動きが、ボラス氏の動きを早めたともいえる。
“吸血鬼”とも呼ばれるボラス氏の経歴
ボラス氏といえば、強気の交渉術で高額契約を引き出すことから”吸血鬼”の異名を持つ。ヤンキースのA・ロドリゲス内野手を2度2億ドル超契約を成功させたほか、2012年のハーパー外野手、2013年のサイ・ヤング賞のシャーザー投手(ともにナショナルズ)、2007年の本塁打王フィルダー内野手(レンジャーズ)ら数多くの大物”顧客”を抱える。日本人では2007年、レッドソックスと大型契約を結んだ松坂(現ソフトバンク)が有名だ。
9日の日本ハム対ソフトバンク戦では、柳田悠岐外野手(26)、10日のヤクルト対DeNA戦では山田哲人内野手(23)も視察したが、最大のターゲットはやはり大谷である。日本ハムは来年2月、米アリゾナ州ピオリアで春季キャンプを行う予定。多数の米球団関係者が視察に訪れることは確実だが、ボラス氏の今回の動きは一歩先んじてのもの。
大谷は誰と代理人契約を結び、どの球団と大型契約を交わすのか。まだまだ先と思われていた未来予想図が、グッと現実味を帯び、我々の前に描かれてきた。