疲労回復法/お風呂・温泉を使った疲労回復法

夏の疲れをリセット!自宅で「温冷交代浴」

夏は冷房の効いた室内と猛暑だった屋外の温度差で自律神経が乱れ、むくみも出やすく体の疲れもたまってきます。秋に向けて夏で疲れた体を「温冷交代浴」でリセットしましょう!

早坂 信哉

執筆者:早坂 信哉

医師 / お風呂・温泉の医学ガイド

暑かった夏もそろそろ終わり、やっと涼しくなってきました。夏は冷房の効いた室内と猛暑だった屋外の極端な温度差で自律神経が乱れ、体の疲れがたまっています。また、冷たい飲み物をつい多く摂りがちになり、それによって特に女性では下肢のむくみが強くなるという研究結果もあります。こうした夏の疲れを取るために、自宅のお風呂でできる「温冷交代浴」を活用してはいかがでしょうか?

「温冷交代浴」って?

お風呂

温冷交代浴で疲れをリセット

「温冷交代浴」はその名の通り、お湯と冷水のお風呂に交互に入る入浴法です。もともとはヨーロッパで温泉療法のひとつとして行われています。また、最近ではスポーツ選手が疲労回復の手段としても用いています。特に2013年にはスポーツによる筋肉疲労に対する温冷交代浴の大規模な研究が行われ、18もの学術研究を調査し、温冷交代浴を評価した結果が海外から発表されました。

その結果、疲労回復筋肉痛の緩和などを含む多くの指標で温冷交代浴が優れているということが明らかになっています。

なぜ、温冷交代浴は効果があるの?

温冷交代浴は温かい湯に浸かった後、冷たい水を身体にかける、あるいは浸ける、というものです。冷たい水に身体が触れると、交感神経が刺激されて筋肉が収縮し、末梢血管の循環やむくみが改善され、身体の疲労で発生した炎症物質の減少をもたらすと考えられています。また、自律神経失調症を防ぎ、冷やした後により深いリラクゼーション効果があると言われています。

ただし、先述の研究ではアスリートを中心にしたものが多く、冷浴は15℃以下の水を使うものと定義され、一般の日本人にとっては実践がかなり厳しいものです。 そのため、私たち一般の人におすすめの温冷交代浴を以下でご紹介しましょう。

おすすめの温冷交代浴の方法は?

  1. 40℃のお湯に3分間肩まで浸かります
  2. 湯船から出て、30℃程度のぬるま湯を手足先にシャワーで30秒ほどかけます
  3. 1、2を3回繰り返します
  4. 最後は湯に浸かった後、お風呂から出ます

30℃では冷浴とは言えないのでは?と思う方もいるかもしれません。しかし、この10℃の違いも十分に交感神経への刺激になります。慣れてくればもう少し温度を下げてもかまいません。また、交感神経への刺激という観点からは、水風呂に浸からなくても手足の先にかけるだけで十分です。冷水風呂に飛び込むようなあまりに強い寒冷刺激は身体にとって負担が強すぎると言えるでしょう。

ただし、健康な方向けの入浴法です

30℃のぬるま湯とはいえ、温冷交代浴は交感神経を刺激する方法ですので、あくまでも健康な方への入浴法です。高齢者、狭心症や心筋梗塞、不整脈など心疾患のある方、高血圧の方、脳卒中の既往のある方はやめましょう。また、その他、お風呂そのものを禁止されているような方も避けたほうがよいでしょう。普段持病があって主治医がいる方は、主治医に確認してからにしてください。

お風呂を使って夏の疲れを上手にリセットしましょう!

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