切手収集/切手収集入門

アジアのパワーを感じた国際切手展シンガポール2015(2ページ目)

国際郵趣連盟主催の国際切手展シンガポール2015が8月14日から19日にかけて、マリーナベイサンズ・エキスポ・コンベンションセンターで開催されました。国際切手展ならではの楽しみに加えて、シンガポールの切手収集事情などもお伝えしたいと思います。

板橋 祐己

執筆者:板橋 祐己

切手収集ガイド

時価1億円?!中国切手の名品・紅印花小字壱円

私が注目した作品は中国切手の専門コレクションです。その中でも異彩を放っていたのは、紅印花小字壱円でしょう。50枚のみ製造され、32枚が現存すると言われている非常に数の少ない切手で、中国の切手の王様とも言われる存在です。
紅印花小字壱円

紅印花小字壱円の1枚。シンガポール2015の展示作品より。

中国経済がバブルに沸く中、2013年7月にインターアジア・オークションズに出たときの落札金額は邦貨で8,900万円を記録しました。次にオークションに出れば、1億円の大台を超えるのではとも囁かれますが、そんな極めて珍しい切手を実物で見られるのは国際切手展の醍醐味です。中国系の収集家の方々が切手の前に足を止めて、熱心に見ている姿が印象的でした。
中国切手コレクション

会場で足を止める人の多かった中国切手コレクション。

世界に3枚しかない、18世紀インドの銅券

もう1つ、私が会場で食い入るように見てしまったのは、クーパーチケット(銅券)と呼ばれるものです。インド切手の コレクションの冒頭に2枚の銅券が展示されていたのですが、これは18世紀中頃にインドで郵便料金前納を示すのに使ったものであり、1840年にイギリス で切手が発行される以前の歴史を語る上で大変貴重なものです。解説によると、「クーパーチケット(銅券)は世界に3枚しか現存せず、本展示には2枚を収 め、もう1枚は大英博物館の所蔵となっている」とのことです。
18世紀インドで使われたクーパーチケット

18世紀インドで使われたクーパーチケット(銅券)。

独創性あふれるテーマチク作品

国際切手展に展示されるのは、非常に高価な切手ばかりではありません。切手や封筒類などを効果的に用いて、ストーリーを語る形式のコレクションをテーマチク作品と呼ばれる部門もあります。ここでは、もちろん展示する切手の稀少性も大切ですが、切手への知識や主題そのものへの知識、展示技術などにウエイトを置いて総合的に評価します。今回の切手展でも、キラリと個性の光る作品が多数出品されていました。
弓矢のテーマチク作品例

弓矢の歴史や生活での役割を語ったテーマチク作品のページ。

次のページでは、展示作品とは別の会場の楽しみについて紹介したいと思います。
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