食と健康/魅力の食材・成分(肉・魚介・野菜・フルーツなど)

意外な食品にも カフェインとの上手なつき合い方(3ページ目)

カフェインといえば、コーヒーの苦味成分として知られていますが、実は茶類や市販飲料類など、他にも様々な食品に含まれています。カフェインの機能性やまた摂取する上での注意点をまとめます。

南 恵子

執筆者:南 恵子

NR・サプリメントアドバイザー / 食と健康ガイド


カフェインの多い玉露は少量を楽しむもの

玉露は茶の中でも特にカフェインが多く含まれていますが、通常100mlも一度に飲むことはありません。昔から高級茶である玉露は、まったりとうまみがつよくまた刺激があるので、少量をほどほどに楽しむものです。

一方で番茶のようにカフェインの少ないものが、お年寄りや子ども病人の水分補給にすすめられるように、健康的な付き合い方が経験的に知られていました。

玉露は、40ml程度が入る小さな茶碗で入れ、実際に一煎で使用する量は一人分20ml、抽出されて飲む量は12ml程度です。また50度程度の低温の湯でじっくりうまみをだします。低温でいれると、カフェインの溶出量が少なくなります。一煎目は、二・三煎目よりもカフェインの溶出量は少ないので、カフェインが気になる方は、こうしたことも意識してみてください。

緑茶の旨みがカフェインの作用を緩和?

緑茶のカフェインについては、伊藤園と愛媛県立医療技術大学との共同研究で、緑茶のうまみ成分であるテアニンがカフェインの中枢神経興奮作用を和らげる効果をヒトで確認したと(2014年)発表しました。

もちろん、あくまで「和らげる」という効果であり、その効果には個人差もあり、今後の研究でより明らかにされることが求められます。

緑茶のように食品から摂取する場合には、カフェインという特定の成分だけを摂るのではなく、様々な栄養成分とともに摂取します。特定成分だけを抽出したり多く添加したサプリメントや機能性食品と異なり、食経験が長く安全とされている食品を取ることのよさは、こういうところにあるのではないかと思います。

摂取したカフェインが体に及ぼす作用には個人差がありますから、過剰に期待するのではなく、嗜好品として楽しむためにうまくつきあいたいものです。


参考/
カフェイン ファクトシート(食品安全委員会)
筑波大学 国際統合睡眠医化学研究機構
計算能力に対するカフェインの作用(沖縄県立看護大学紀要第2号)
自立神経活動と健康づくり(日本経大論集第42巻第1号)
カフェインの摂取と生殖・発生障害についての文献調査(食品・薬品安全性研究ニュース第2号/一般財団法人 日本公衆衛生協会)
五訂増補日本食品標準成分表
東京都福祉保健局 東京都食品安全FAQ
伊藤園
日本茶インストラクター講座テキスト
茶のいれ方研究会
高カカオをうたったチョコレート 結果報告(独立行政法人 国民生活センター)

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