2015年8月の株価暴落?
2015年8月第3週の週末に、世界の株式市場で株価が急落しました。原因は、中国景気の減速懸念と報じられていますが、FRB利上げへの嫌気かもしれません。本当のことは分からないので、ここでは原因を考えたりしません。
私たちにとって大事なことは、起きてしまった現実をどう解釈するかです。
この解釈は、投資家のスタンスによって異なります。私は、長期投資家というスタンスから、考えてみたいと思います。
一ヶ月で20%の急落
今回の急落は、中国不安と言われるだけあって、アジアでの株安が目立っています。香港株式市場の株価指数であるハンセンは、このひと月で20%近くも下落しました。これは、暴落というほどではないにしても、投資をしている人たちにとっては、心穏やかでいられない数字です。テレビも新聞も、この先の恐怖感をあおるような刺激的な言葉で報じていますから、普通の人が不安を持つのも当然です。
我慢したいパニック売りと中断
こうしたときにもっとも悪い反応は、パニックになって、持っていた資産を売ってしまうことです。次に悪いことは、これから先に計画していた投資を見送ってしまうこと。あなたがもしも長期投資家であったなら、こんな場面では、ろうばい売りをしてはいけないし、これからの投資も続けるべきです。なぜなら、マーケットは過度の不安心理によって、みんなが悲観的になることで、行き過ぎた弱気相場になっている(ひどく過小評価されている)可能性があるからです。
楽天的な言葉で言い換えれば、今は年に一度の大バーゲンセールみたいなものです。目先の損得にこだわらない人であれば、ここは買いを続けていけばいいのです。
急落する相場こそ、儲けのチャンス
実は、投資の結果に差が出るのは、上昇相場よりも下落相場なのです。株安にビビって投資を見合わせているうちに、その後に訪れる反発相場に乗り遅れてしまう人がほとんどです。リーマンショックの直後に、退職金を全部株式市場につぎ込んだ人を知っていますが、あっという間に資産は2倍になりました。そこまで勇猛なことはできなくても、つみたて投資を止めないということくらいはできるでしょう。ドルコスト平均法を使ったつみたて投資が、強みを発揮する場面です。決して途中で止めてはいけません。
5年間で見れば立派なプラス
メディアには、週間でいくら下がった、1日でこんなに下がったと表現していますが、私ならこんな数字で現状を見ています。これは5年前の株価指数と比べて、年間騰落率のばらつきをまとめた表です(為替の変動は加味していない現地通貨ベースのデータです)。短期的な視点からひどい株安に見える数字も、5年スパンで見てみると、まったく穏当な数字ではありませんか。
激震地の香港(ハンセン)では、さすがに年間1%の上昇という寂しい数字ですが、アメリカ(S&P500)、ドイツ(DAX)の株価は今回の株価暴落の直後でも、10%超の年間リターンをはじき出しています。
それにもまして、日本の株価(TOPIX)が13%超と好調なことがうれしいですね。世界全体(MSCI、ACWI)で見ても、6%超の上昇なのですから、決して悲劇ではありません。
むしろ、長期投資を続けていくことが、どんな暴落をも乗り越える確実な方法であると確信させられます。過去の行動を悔いる前に、これからできることに意識を集中して、この試練を乗り越えてください。