田んぼ~稲穂が揺れる昔ながらの「谷戸田」
野外生活広場を抜けると、やがて田んぼの前に出ます。広々とした田んぼに、秋には稲穂が揺れて、かかしの姿も。10月初めころなら、稲刈の風景も見られるかもしれません。ここは、昔ながらの自然環境が保全されている谷戸田(やとだ)。山崎・谷戸の会の皆さんがボランティアで耕作しています。古来、鎌倉の谷戸底ではいたるところで、「しぼり水」を使い、田畑が耕作されてきました。しかし、都市化とともに平地の方から開発が進み、今では谷戸底の田んぼをはじめとする水辺は、貴重なものになっています。
さらに谷戸の奥へ~谷戸の自然探検、「しぼり水」も
田んぼの周りを、左手からぐるっと回って歩いていきましょう。田んぼの向こう側まで来たら、さらに道を奥へと進んでいってみます。こちらは、自然のままの谷戸の姿が残る場所。秋なら リッリッリッリーと鳴くキンヒバリなど、虫たちの声に耳を傾けてみて。キチキチキチ…と、モズの高鳴きも聞こえてくるかもしれません。モズは小型ながらバッタなどを捕まえて食べる、ワシやタカの仲間の猛禽類。えさとなる小動物がすむ自然があるからこそ生きていける、里山の鳥です。
途中で、斜面左手から「しぼり水」が流れ出すところが見られるかもしれません。山の土にしみこんだ雨が、ぽたんぽたんと少しずつ、谷あいからしみ出てきます。晴れた日が数日続いていても水のしずくが見られ、山の緑の保水力に驚いてしまいます。
突き当りの木道のところで、谷戸を見下ろしてみましょう。これが、昔から鎌倉のどこにでもあった、谷戸の姿です。
今は、鎌倉の平地の部分にはほとんど建物が建っているので、こんな景色はあまり見られなくなりました。なお、この先に行くと、3月中旬ごろ白梅が美しく咲く梅林があり、さらに進めば公園の梶原口にも出られます。ここではちょっと一休みして、元の道を戻りましょう。
田んぼに出たら、今度は先ほどと反対側の道を進み、田んぼの周りをぐるっと一周します。しばらく行くと左手に土の斜面があり、ここも子どもたちの格好の「土の滑り台」。お子さんと行くなら、ぜひ泥んこになってもいい服装で、着替えを持って。