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苦戦中の「超高分配」ファンド、基準価額は回復する?

200円以上など高水準の分配を行う「超高分配」の毎月分配型ファンドが現在、苦戦を強いられています。これらのファンドは、相対的に利回りの高い資産に投資を行い、さらにオプション取引を活用することで高分配を実現してきましたが、足元では何が起こっているのでしょうか。詳しく見ていきます。

篠田 尚子

執筆者:篠田 尚子

投資信託ガイド

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新興国通貨の急落が打撃に

「超高分配」ファンドの注意点

「超高分配」ファンドの注意点

毎月200円以上など高水準の分配を行う「超高分配」ファンドの多くは、高利回り資産への投資に加えて、ブラジル・レアルなどの新興国通貨の為替取引とオプション取引も活用し、収益原資・分配原資を確保してきました。

しかし、7月以降、レアルとトルコリラを中心に新興国通貨が再びの急落に見舞われ、基準価額を大きく押し下げました。原資産である国内株式やリートに一時期ほどの騰勢が見られなったこともマイナス要因となりました。

カバードコールが基準価額の上昇を抑制

シンプルなインデックス連動型ファンドや、決算回数が年1、2回の「非・定期分配型」ファンドであれば、基準価額の下落時に追加購入することで平均取得単価を下げ、将来的な反発に期待するという選択肢もあります。しかし、カバードコール戦略と呼ばれるオプション取引を活用したファンドの場合、この戦略自体が基準価額の回復を抑制してしまう可能性があります。

カバードコール戦略とは、将来のある水準以上の収益機会を手放す代わりに、対価として現実の収益を受け取る戦略です。この対価は一般的に、「(オプション)プレミアム」などと呼ばれます。高分配ファンドは、原資産である株式、債券、リート等の収益にこのプレミアムを上乗せすることで、分配可能原資を確保しています。

このように、カバードコール戦略を用いると、プレミアムを受け取ることができる反面、利益が一定水準に抑えられ、基準価額の大幅な値上がりを期待しづらくなります。特に、高水準の分配を継続しているファンドほど基準価額の回復には時間がかかります。

2000年代後半以降の世界的な低金利環境下では、あらゆる仕組みを用いて高分配を目指すファンドの設定が相次ぎました。カバードコール戦略型もその1つです。いま受け取れる分配金か、中長期的な値上がり益か……投信で重要視するポイントを明確にした上で投資を検討してください。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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