2005年秋に大きな社会問題となったマンションの耐震強度偽装事件を契機に、国土交通省は既存分譲マンションのサンプル調査を全国で実施しました。
2009年3月時点のまとめでは「偽装あり」が2物件、設計図書の間違いや施工不良などの「誤り等あり」が57物件で、このうち5物件が耐震性に問題があったとされています。
2008年5月に耐震強度不足が明らかとなった兵庫県姫路市の分譲マンションでは、施工不良が原因とされましたが、公表された資料をみると2000年~2001年に工事が行なわれています。
阪神・淡路大震災から5年後の工事で、その記憶が生々しいはずのエリアでもこのような物件が出たことに、少し落胆せずにはいられません。
もっとも私自身、姫路よりも神戸に近い某市で、だいぶひどい築浅のマンションを見たこともありますが……。
それよりも、比較的新しいマンションを対象としたわずか389物件のサンプル調査で、5物件の耐震強度不足が発覚したことが大きな問題でしょう。「たった5物件」ではなく「5物件も!」なのです。
この割合を全国のマンション数に当てはめたら、びっくりするほどの棟数になりそうです。これから購入しようとする中古マンションがそれに該当する確率は低いとしても、決して無視することはできないでしょう。
全国すべてのマンションで調査を実施してもらいたいものですが、国土交通省のサンプル調査ですら2年半近くがかかりました。中古マンションを購入する際には建物の状態をしっかりと確認するなど、自己防衛の意識も欠かせません。
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(この記事は2008年10月公開の「不動産百考 vol.24」をもとに再構成したものです)
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