今回は、この高等専修学校について、その仕組みや種類から卒業後に得られる資格や学歴までを探ってみたいと思います。
義務教育である中学校を卒業した後の進学先としては次の6つがあります。
- 全日制
- 通信制
- 単位制
- 定時制高校(公立・私立)
- 高等専門学校
- 高等専修学校があります。
名称が紛らわしいのですが、“高等専修学校”と“高等専門学校”とは大きな違いがあります。
名称が似ている“高等専門学校”との違い
一般的に“高専”と呼ばれる学校は、高等専修学校ではなく、高等専門学校のことを指します。国公立の学校が多く、私立は全国でも2校しかありません。学科は工業系と商船系学科がほとんどです。入学に際しては、中学校を卒業した方が対象で、イメージとしては一般科目と専門科目を5年(商船系は5年半)間で学びます。各都道府県に1~2校しかなく、入試倍率や偏差値も高いのが特徴です。ちなみに教育法では中学、高校、大学と同じく第1条に規定されているので“1条校”と呼ばれる学校種になります。一方、高等専修学校は専門学校と同じく学校教育法第124条“専修学校”という区分になります。また、認可されている分野は、1.工業/2.農業/3.医療/4.衛生/5.教育・社会福祉/6.商業実務/7.服飾/8.文化教養の8分野となります。私立が多く、全国各地に350校程度あります。国公立は、各都道府県に2.3校程度で看護などの医療分野と農業分野がほとんどです。
ちなみに商業高校や工業高校などの専門高校(専門科も含む)は、法律的には高等専門学校と同じく1条校という扱いになっています。
高等専修学校の入試については専門学校のそれと近いものがあります。入試科目としては、面接・作文・書類審査が一般的で、教科ごとの習熟度を点数化する試験はあまりなく、落とすための入試ではないところがほとんどです。あくまでも、やる気や適性を確認するようなイメージの入試です。
また、高等専修学校は、国が支援する就学支援金の対象校にもなっていますので、他の公立・私立の高校と同様に経済的な面からみても安心して選択肢として考えることができます。
卒業後に得られる資格・学歴
3年制の高等専修学校の中で通信制高校と提携している学校は、技能連携校となっていますので、高等専修学校の卒業資格と通信制の高等学校の卒業資格も同時に取得することができます。また、比較的小規模の学校が多いので、面倒見の良さが特長として挙げられ、不登校経験者や普通高校からの転編入学生など、幅広い層の生徒が通っている学校もあります。
普通科の高校と違って専門的な技能習得や資格取得ができます。どのような資格が取得できるかは以下の内容を参考にしてください。
【高等専修学校を卒業すると同時に取得できる資格】
調理師(衛生分野)
【高等専修学校を卒業すると同時に受験資格が取得できる資格】
自動車整備士3級(工業分野)、准看護師(医療分野)、製菓衛生師(衛生分野)、理容師・美容師(衛生分野)
その他にも様々な試験・検定に取り組んでいます。また、大学進学コースを設けている学校もあります。
スポーツ面では全国大会も開催されています
“専修学校”と専門学校の関係
最後に、専修学校と専門学校の関係性が難しいとの話を耳にしますので、設置されている課程でみていきましょう。専修学校と呼ばれる学校には3種類の課程があります。まずは学校の課程の名称と内容を確認しておきましょう。
1.高等課程
◆入学対象者:中学を卒業した方
◆修業年限:1~3年
※高等課程を設置している学校は“高等専修学校”と称することができます。一般的には、専門課程がなく高等課程だけを設置している場合に○○高等専修学校と称しているケースが多く見受けられます。
2.専門課程
◆入学対象者:高校を卒業した方
◆修業年限:2~4年
※専門課程が設置されている専修学校は学校名の前後いずれかに“専門学校”と付けることができます。
3.一般課程
◆入学対象者:学歴等は特に問わない。
◆修業年限:規程は特にありません。
※予備校などでパンフレットなどに“専修学校”となっているところは、こちらの一般課程です。
上記の3課程の中で、3.一般課程は別として、2.専門課程は大学、短大と相対する年齢で、1.高等課程は高等学校のそれにあたることが分かります。
普通高校の受験や大学受験のような偏差値を縦軸として学校を比較するのではなく、専門学校のように、自分のやりたい!なりたい!を基準にした横軸的な学校選びが、高等専修学校選択のカギを握ります。
高等専修学校の仕組みの詳細や個別の学校の紹介は全国高等専修学校協会のホームページにてご確認ください。