アドバイス1 仕事につなげるにはコミュニケーションが不可欠
学生時代から経済に興味があり、相談者の月詠さんが言うとおり、税金など生活に役立つ知識を身に付けるという目的なら、ファイナンシャル・プランナー(以下、FP)の資格取得に対して、何ら言うことはありません。ぜひ頑張って取得してほしいと思います。しかし、それを仕事に活かすとなると、少し話は違ってきます。ご自身の「人とのコミュニケーションが上手く取れない」という点が、大きなハンディとなるからです。FPは専門知識もさることながら、的確に相手の要望や状況を聞き出し、それに沿ったアドバイスをしなくてはいけません。ときに相手が言いにくいことを「察する」ことも必要です。つまり、コミュニケーション能力はこの仕事に不可欠なのです。
したがって、もしFP資格を活かす仕事を目指すなら、コミュニケーション能力も合わせて磨いていくことが条件となります。あるいは、そういったことがハンディにならない仕事に関連した、別の資格を検討すべきではないでしょうか。
ちなみに、日本FP協会は各都道府県に支部を持っています。お住まいの地域の支部に連絡をして、FPがどのような仕事をし、また支部がどのような活動をしているのかを知ると、よりFPへの理解も深まり、コミュニケーション能力をアップさせる一助になると思われます
アドバイス2 投資投資は全資産の4~5割程度に
家計を見る限り、無駄を削り、十分節約を意識した管理をされていると思います。それだけに、投資への資金配分が多いのがとても気になります。現在、貯蓄50万円に対して、投資500万円。現状はより投資できる環境にありますが、それでも、どんなに多くても資産の5割まで、現状の資産で言えば250万円が上限でしょう。リーマンショック級とは言わなくても、先日のギリシャショック程度のクラッシュなら、いつ起こっても不思議ではありません。そして、その後、市場がすぐに持ち直すか、それとも数年かかるかは誰も予測はできないのです。そのためにも、手持ちの投資商品のうち、利益確定できるものを一部売却し、現金化し、投資比率を下げる。そのことがリスク回避の有効な手段です。お金が必要な時に必ず投資が上手く行っている保証はどこにもありません。
それに、マル優が使えるという、大きなメリットが月詠さんにはあります。元本保証の金融商品に預ける比率を増やしてみてください。
アドバイス3 資金づくりとは別に「頼れる人作り」も必要
月詠さんは考えもしっかりしていますし、家計管理もキッチリできる人です。今後、資金を確実に増やしていくことも可能でしょう。ただ、それだけではなかなか将来への不安は払拭できません。これは月詠さんに限らず、誰でもそうなのです。余計なことかもしれませんが、親御さんとの関係が上手くいっていないとのこと。頼る家族がいないのは、今後の月詠さんにとってもマイナスのはず。したがって、資金とは別に、仲間作りもしてほしいと思います。もちろん、人に頼らず生きていく姿勢や気持ちは大切です。しかし、入院するなど、不測の事態に陥ったとき、誰か頼りになる、信頼できる人がもし周囲にいないのであれば、そういう人間関係を意識して作るべきではないでしょうか。
人との関係はお金では買えません。簡単なことではないでしょうが、ぜひ頑張ってください。
教えてくれたのは……
深野 康彦さん
取材・文/清水京武 イラスト/モリナガ・ヨウ
【関連記事をチェック】
38歳、収入は上がらず。教育費や介護など将来が不安
40歳、年収が200万円ダウン。教育費と老後資金が心配
35歳、貯蓄50万円。老後を暮らすマンションは買える?
35歳、貯蓄15万円。3年以内にマンションを買いたいが
20代アルバイトで月収15万円。安定した生活を送りたい