高性能ブランド、メルセデスAMGの旗頭

メルセデスAMG GT S

SLS AMGに続く、AMG完全自社開発の2シータースポーツ。ベーシックモデル(1580万円)とS(1840万円)をラインナップする


車名は、シンプルにメルセデスAMG GT。最初にこのネーミングを知ったとき、真っ先に思い出したのは、SLS発表時にAMG側のとある開発者(といっても元々ベンツにいた方)が、ふと漏らした言葉だった。

「SLSって名前、ホントはあまり好きじゃないんだよ」

その言葉からは、やっとのことで実現にこぎつけた、AMGとして理想とするFRのスポーツカー企画が、メルセデス・ベンツ300SLという偉大なるレジェンドへのレトロリスペクト作品、単なるオマージュとして捉えられることへの悔しさがにじみ出ていたように思えた。

実際、ガルウィングドアロードスターボディをもつSLSは、やはりというか当然のことのように、300SLシリーズの再来として市場には受け入れられ、AMG悲願のオリジナルスポーツカー実現という側面は、すっかり薄められてしまったようにも思う。

今回、だからストレートに、GTなのだ。折りしも、メルセデス内におけるブランドネーミング戦略は3つに区切られた。すなわち、ノーマルラインナップのメルセデス・ベンツ、超高級ラインナップのメルセデス・マイバッハ、そして高性能ブランドのメルセデスAMGだ。すべてはメルセデスの旗のもと、けれどもブランド毎にクルマのキャラクターはまるで違う。そんな新戦略のもと、AMGの旗頭として誕生したのが、このAMG GTというわけである。

2シーターのFR高性能スポーツクーペ、メルセデスAMG GTシリーズが狙ったカテゴリーは、ポルシェ911ターボやアウディR8、BMW i8あたりが覇を競う2000万円級のクラスである。ここでは、ある程度の実用性を担保しながらも、スーパーカー級の性能が期待されている。

メルセデスAMG GT S

新開発の4L V8直噴ターボを搭載。2基のターボチャージャーをシリンダーバンク内側にレイアウトする「ホットインサイドV」が用いられている


AMG GT Sならば、510psを発揮する新開発の4L直噴V8ツインターボエンジンを積んだことで、0→100km/h加速は4秒を切る3.8秒を標榜しており、最新の高性能スポーツカースペックとしてはまずは合格レベル(ちなみに、571psを誇るSLSデビュー時の加速スペックと同じ)。それでいて、日本での販売価格はポルシェターボよりも随分とお安く、車両本体価格が約1800万円と、ポルシェなら911GTSレベルである。さらに462psのGTなら1500万円ちょっと、だから、911カレラS並み。決して安くはないけれども、911のオルターナティブとして、かなりの注目を集めているといってよさそうだ。

メルセデスAMG GT S

軽量で高い強度のアルミスペースフレームを採用。フロントミッドシップエンジンやミッションのトランスアクスルレイアウトなども用いられ、前後重量配分を47:53とした。回頭性を高めるため、フロントモジュールをマグネシウム製に


イメージカラーのド派手なゴールドイエローメタリック(その名もAMGソーラービーム)をまとったAMG GT Sをしばらく借り出して、東京~京都の往復などに使ってみた。