お金を失うよりも命を失うほうが怖い
お金を失うことより、命を失うことのほうが怖い。どんなに投資的価値の高いことであっても、それが自分の命を危険にさらすようなことはしたくないと私は考えます。そこで投資的生き方の一例として、ここからは私が心がけているリスク回避習慣をご紹介します。ちょっと極端に感じるかもしれませんが、引かないでお読みいただけたらと思います(苦笑)。
まず、私は日常ではほとんど走りません。駆け込み乗車も絶対にやらず、次の電車を待つようにしています。そのためいつも余裕を持ってでかけます。たまに遅れてしまい、「この電車に乗らないと約束の時間に遅れる……」という状況になることもありますが、そのときは先方に遅れる旨を伝えます。社会人失格と思われるかもしれませんが、ケガをして長期入院になるリスクよりましだからです。
また、雨の日はすべりにくい靴を履き、階段は非常に慎重に上り下りします。雨の日に階段を駆け下りてすべって転んで頭を打ち、動かなくなって救急車で運ばれた女性を見たことがあるからです。
交差点で信号待ちをするときは、最前列ではなく人混みの少し後ろで待ちます。たまに交差点にクルマが突っ込んでくるというニュースを聞くからです。
そういう意味でも、私は事故関連のニュースにはとても敏感で、どういう状況で人は死んだりケガをしたりするのか、その原因を分析し、自分ならどう行動するか、を考えるのが習慣になっています。そして家族にも、「こんなことが起きたらどうする?」としょっちゅう問いかけ、リスク回避の方法を考えてもらうようにしています。
スキューバダイビングや川遊び、雪山登山は「やらない」
私がスカイダイビングやスキューバダイビングをやらないのは、たまにそれで死亡するという事故が起こるからです。川遊びや川岸でのキャンプをやらないのは、急な深みにはまって流される、上流の増水に気づかず流されるという事故が毎年絶えないからです。雪山登山もやらないですし、山に登るときは徹底的に準備をします。夏でも軽装で入ることは避けています。遭難して死んだり、救助ヘリを出動させたりして、あとで高額な救助費用を請求されるというニュースを見ているからです。
移住先にマレーシアを選んだのも、親日国で治安がいいことはもちろんですが、自分が寒さにとても弱いことを知っているからでもあります。もちろん南国ですので、伝染病のリスクは高い。日本でもデング熱が話題になりましたが、熱帯地域ではよくある話です。それでも、暑くて死ぬリスクは低いけれども、寒いと死ぬこともあると考えています。
そんな私の自宅の書棚には、サバイバル術の本が数冊あります。緊急事態に直面して生き残る方法はなにか。どうすれば救助が来るまで生き延びられるか。そういった知識だけでもインプットしておけば、いざというとき何らかの打開策が見つかると考えているからです。
ちなみに私が愛読しているサバイバル書の1冊は、ナショナルジオグラフィック社の『世界のどこでも生き残る 完全サバイバル術』(マイケル・S・スウィーニー著)です。ここには、日常は起こりえないような遭難や自然災害に遭遇したとき、生き残るためのテクニックが幅広く紹介されています。この本を読みながら、自分がそうした状況に置かれたときのことを想像するイメージトレーニングをしています。
お金持ちになるために必要なのは、結局は「予見力」
同様に、自転車やバイク、車を運転しているとき、台風や雷雨のとき、地震が起きたとき、いったいどんな危険が迫り得るか、想像力を働かせ、自分の行動を最適化させるのです。これを私は「予見力」と呼んでいますが、この力を高めることは、自分と自分の家族の命や健康を守ることにつながると考えています。私が予見力に着目し、その有用性を信頼しているのは、そうしたリスク回避という側面からだかけではありません。
自分の選択がどういう結果を招くかが見え、他人からどのような影響を受けるかが見えれば、その選択もより洗練されていくはず。そうすれば、「自分はこう生きたい」という軸を中心に人生を組み立てることができると考えているからです。