「肌カビ」をご存じですか?
肌トラブルが続くときは、「肌カビ」の可能性も考えてみましょう
皮膚炎を起こすカビは水虫の原因となる白癬菌(はくせんきん)や、お股などにできるカンジダ菌などがありますが、肌カビは脂(あぶら)が好きなマラセチアという菌による皮膚炎を指します。
カビがついているだけなら問題ないのですが、異常に増殖してしまうと3つの代表的な症状を起こしてきます。
- 脂漏性皮膚炎
- 癜風(でんぷう)
- マラセチア毛包炎
それぞれの症状を以下で具体的に見ていきましょう。
脂漏性皮膚炎
脂漏性皮膚炎は、頭と顔によくできる、名前の通り脂(あぶら)が漏(もれでる)ことで出現する皮膚炎です。脂が漏れ出す部分、Tゾーン、小鼻の周囲、頭皮でカビが繁殖して炎症を起こします。症状としては、皮膚炎を起こしたところが赤くなる、垢がつく、かゆみがでるなどが挙げられます。また、頭の場合はフケが出ます。いわゆるフケ症のひとつです。
よく洗ったとしても、それだけでは治りません。状態は皮膚炎ですので、カビを殺す薬ではなく、皮膚の炎症を止めるステロイド軟こうやステロイドローションを塗ることが多いです。
暑い季節ですが、ドライヤーでしっかり乾かすことが大事です
癜風(でんぷう)
癜風(でんぷう)は、体に茶色のシミのようなものや、色の抜けた白い斑点のようなものが出現します。かゆみなどの症状はありません。体にシミができたのかな?色ムラかな?と思われている方も多いのですが、実は肌カビが原因になっているかもしれません。カビを殺す薬を塗れば、綺麗に治療することができます。シミのような部分の皮膚表面をこそぎとって顕微鏡で見ると、ラグビーボールみたいなマラセチア菌がいますので、診断することができます。お風呂で体を見てみてください。お肌の色は均一でしょうか?
マラセチア毛包炎
背中によくできる、ニキビにそっくりの皮膚炎です。ニキビより少し小さめのぼつぼつなのですが、一見では判断がつきませんので、こちらも顕微鏡で菌を確認することが必要です。「肌カビ」の可能性も視野に
バイキンに感染してとびひになったり、ウィルスに感染してみずぼうそうになったり、ダニに感染して疥癬(かいせん)になったりするように、カビによっても皮膚に炎症を起こすことがあります。カビは汗をかいて湿っぽく、いつも温かい人間のような高温多湿の環境が大好きなのです。なかなか治らない皮膚炎、それも梅雨から夏にかけて繰り返す症状のとき、「肌カビ」が原因となっている可能性も考えてみてください。