ビデオカメラの買い替え、フルハイビジョンと4K、どちらを選ぶ?
現在のデジタルフルハイビジョンが主流になり始めたのが、2005年から2010年くらいでした。このフルハイビジョン対応のビデオカメラを購入したユーザーは、そろそろビデオカメラの買い替えを考え始めている頃でしょう。たとえ、当時のハイビジョン対応ビデオカメラでも画質的には満足でも、ボディーサイズが大きかったですから、現在のハイビジョン対応ビデオカメラの小型さは魅力でもあります。
それでは、買い替えを検討してみるか、というところで問題となるのが、新しい機種もフルハイビジョンにするか、あるいはせっかく買い換えるのなら、いま話題の4Kがいいか、という選択肢です。
ということで、今回は「いま買い換えるのならフルハイビジョン、4Kどちらがいいのか」という事を探ってみました。
キヤノン4Kビデオカメラ「XC15」
<目次>
フルハイビジョンと4Kは画質の違い
まず、そこですよね。フルハイビジョンと4Kは何が違うのか、という点です。一言でいえば、「解像度が違う」ということです。フルハイビジョンの場合、解像度は「1920×1080」ですが、4Kでは「3840×2160」という解像度になります。簡単に言えば、4Kは画質がフルハイビジョンの4倍ということです。要するに、「映像がきれい」ということですね。フルハイビジョンにするか4Kにするかのポイントは、現在のところ、ココしかありません。今を最高の画質で残したいというのであれば4Kをチョイすることに疑問の余地はありません。ただし、「4Kの画質がよいというのはわかるけど、フルハイビジョンでも十分」というユーザーもいるでしょうし、「4Kは範疇外」というユーザーもいるでしょう。そのような場合は、フルハイビジョンをチョイスすることになりますね。
では、本当に画質の違いだけなのか? 他にはないのかということで、ちょうどビデオカメラの買い替え時期に突入した筆者的にも、買い替えユーザーの一人として考えてみました。そこで、4Kとフルハイビジョンのメリット・デメリットについて考えてみました。
4Kとはフルハイビジョンの4倍の画素数
何気に4Kと使っていますが、4Kについて、ざっくりと解説しておきましょう。動画は複数の「フレーム」と呼ばれる静止画を高速に切り替えて表示しています。この静止画のことを「フレーム」と呼ぶのですが、このフレームのサイズを「解像度」と呼んでいます。そして、解像度は「画素」と呼ばれる要素の集まりで表現されます。たとえば、フルハイビジョンの場合は、フレームが「1920×1080」で、横1920、縦1080の画素で構成されていることになります。
これに対して、4Kというのは、横3840、縦2160の画素で構成されています。単純に画素の数でいえば、4Kはフルハイビジョンの4倍の画素で構成されていることになり、4倍の解像度があるということなのです。
高解像度だと何が良いのかというと、その分、高詳細な画像を得ることができるということなのです。
ちょっとわかりずらい話ですが、「K」というのは「1000」を表しています。そのため、フルハイビジョンは横幅の解像度が「1920」と約2000あるので、フルハイビジョンのことを「2K」と呼びます(2K1Kとも呼ぶ)。4Kの場合は、横幅が3840と約4000あるので、4Kと呼ぶのです。
4Kのメリット・デメリット
最初に、4Kのメリット、デメリットから考えてみましょう。■4Kのメリット
4Kのメリットとしては、次のような点が挙げられます。
- 高解像度なので、高精細画質である。
- 映像から写真を切り出すと、とてもきれい。3840×2160の解像度なので、デジカメ並みの美しい写真が得られる。
- そのときの最高の画質で残せる。
「動画」というのは、静止画像、いわゆるJPEG形式などの連続写真を1秒間に30枚、60枚と高速に切り替えて動きを表現しています。したがって、その中の1枚を切り出せば、写真として利用できるわけです。ちなみに、1枚の静止画像のことを「フレーム」と呼びます。そして、1秒間に何枚のフレームを表示するかを「フレームレート」といい、記号が「fps」です。たとえば、1秒間に60枚のフレームを切り替えて表示する場合は、「60fps」と表記されます。
ということで、4Kの場合の解像度は3840×2160なので、一般的なデジカメと同じくらいの解像度なのです。したがって、動画の中から1枚のフレームを写真として切り出しても、十分に楽しめるのです。
■4Kのデメリット
現状で考えられる、4Kのデメリットをピックアップしてみました。
- 価格が高価である。
- 使い勝手が未熟である。
- データのファイルサイズが大きいので、データ保存には外部HDDなどが必要。
- 4Kの高精細映像を楽しむには、4K対応TVが必要
使い勝手に関しては、まだ「4Kの映像が撮れる」という状況で、たとえば手ブレ補正や顔認識など、ユーザーの要望などを取り入れて改善するという以前の状態なので、今後は、低価格化と同時に、使い勝手は向上するでしょう。
動画のファイルサイズが大きい点、これは仕方ありませんね。フルハイビジョンの4倍、8倍の解像度があるわけですから、外部HDDなどで保管・管理するのは必須です。
また、いくら4Kが高精細だからと言って、フルハイビジョン対応のTVでは、その高精細は楽しめません。やはり4Kの高詳細映像を楽しむには、4K対応のTVが必要になります。
4Kとフルハイビジョンどちらにする?
4Kについてのメリット、デメリットについてお話ししましたが、ではいまビデオカメラを買い換える、あるいは新規に購入するなら、4Kとフルハイビジョンどちらにすればよいのかを考えてみましょう。ここでは、いくつかの購入タイプを解説します。■4Kのビデオカメラを選択する
4Kのビデオカメラをチョイスする最大の理由は、「今を最高の画質で残したいから」です。できる限りの高画質で今を残したいのであれば、4Kがおすすめです。もちろん、現状4Kのビデオカメラは高価格ですが、それだけの代償を払っても得たいという方にはおすすめです。
もちろん、撮影だけでなく、4K映像を再生するための出費も必要になります。ただ、現状では4K映像を再生/表示するTVがなくても、将来的に4Kで再生できればよいということでもよいのではないでしょうか。
■フルハイビジョンのエントリーモデルを選択する
キヤノンのエントリーモデル機「iVIS HF R700」
(オンラインショップ販売のみ:26,800円~)
フルハイビジョンの映像で十分満足だし、できれば低価格な機種で手軽に映像を楽しみたいというユーザーであれば、フルハイビジョンのエントリーモデルがおすすめです。
フルハイビジョン映像は、50インチ程度のTVで観ても、決して見劣りするほど画質が悪いという事はありませんし、それどころかハイビジョンでも高画質な映像を楽しめます。
エントリーモデルの機種を進めるのには、もう一つ理由があります。エントリーモデルは低価格ということもありますが、低価格でありながら充実した機能を備えていることがあります。エントリーモデルでも、手ブレ補正や顔認識などはもちろん、シーンに合わせて自動でベストな設定での映像が撮影できるなどオート機能が充実し、カメラ任せでもきれいで美しい映像が撮影できます。
価格的にも、2~3万円台で購入できるという点も見逃せません。低価格で高画質なフルハイビジョン映像を撮影できるハイテクノロジーを搭載したエントリーモデルがおすすめです。
ただし、エントリーモデルを購入する場合の注意としては、センサーの性能が高性能なものを選ぶということです。そして、手ブレ補正機能がしっかりしていること。ハイビジョンであるなら、スマホでも撮れます。しかし、失敗しないハイビジョン映像を撮るには、手ぶれしないことが重要です。
そのためには、スマホよりはビデオカメの方が手ぶれ補正機能がしっかりしています。
■フルハイビジョンのフラグシップモデルを選択する
キヤノンのフラグシップモデルビデオカメラ「HF G40」
フルハイビジョン映像で満足しているが、さらに高機能なハイエンド機を利用して高画質な映像を手にするという方法もおすすめです。
筆者的にはこの方法がおすすめですが、この場合、価格的には4Kのビデオカメラと同等化それ以上という比較になります。したがって、画質だけの比較ではなく、それ以外の要素が比較対象になります。具体的には、高性能なセンサーによる、プロ機と同等の高画質で豊かな階調のフルハイビジョン映像が得られるなどです。
簡単にいえば、高画質というだけでなく、高品質な映像を得ることができるという点が魅力なのです。
■判断の目安
以上のことを踏まえ、簡単な判断基準をまとめてみました。これからビデオカメラを買い換える、あるいは新規に購入する場合の参考にしてください。
- 4Kビデオカメラ
今をできる限り高画質な映像を残したい - フルハイビジョン(エントリーモデル)
手ぶれのない高画質なフルハイビジョン映像が手軽に撮れ、低価格 - フルハイビジョン(フラグシップモデル)
高画質で階調の豊かな、高品質なハイビジョン映像が撮れる
キヤノン4Kビデオカメラ「XC15」
今回、4Kビデオカメラとフルハイビジョンカメラのレビューとして、キヤノンの4Kビデオカメラ「XC15」と、フルハイビジョン対応のフラグシップモデル「XF G40」をレビューしてみました。キヤノン4Kビデオカメラ「XC15」(市場価格:約27万円)
キヤノンの4Kビデオカメラ「XC15」は、スタイリングが独特。一見、一眼レフスタイルの風貌ですが、中身はビデオカメラそのものです。
撮影画素は、1型CMOSセンサー(動画有効画素約829万画素)を搭載。ファイル形式は、MXF形式を採用し、圧縮用のコーデックには、キヤノンの業務用ビデオカメラで利用されるXF-AVCを採用しています。4K映像は、3840×2160の30p/24p、フルハイビジョンは60p/60i/30p/24p/に対応しています。
手持ちでの撮影感覚としては、ビデオカメラというより正しく一眼レフカメラのそれと同じです。とはいっても、安定撮影には、やはり三脚が必須。撮影モードは、「AUTO」のほかに、「P」(プログラム)、「Tv」(シャッタースピード優先)、「Av」(絞り優先)と、一眼レフのそれと同じデザインのボタンで切り替えます。しかし、NDフィルターの利用に加え、XLR2系統のマイクロフォンアダプターを備えるなど、プロ使用のビデオカメラなのです。
撮影した映像は、4Kの高画質であることはもちろん、やはり気に入ったのは「ぼけ具合」ですね。画面は、ハイビジョンのG40と同じアングルで撮影したものですが、背景の灯籠のぼけ具合はXC15の方が一眼レフに違い絵柄で、これまでにはない絵柄を楽しめました。
キヤノンフルハイビジョンビデオカメラ「HF G40」
キヤノンフルハイビジョンビデオカメラ「HF G40」 (市場価格:約16万円)
現在、筆者が愛用しているビデオカメラがキヤノンの「HF G20」ですが、今回、キヤノンのフルハイビジョンビデオカメラ「XF G40」と映像を比較してみました。G40は、キヤノンプロ用ビデオカメラ「XAシリーズ」と同じ1/2.84型、有効約291万画素の大型HD CMOSセンサーを搭載。これによって集光効率を高め、低照度下のS/N比が3dbアップしています。
キヤノンフルハイビジョンビデオカメラ「HF G20」
簡単にいえば、早朝の景色や夕景、夜景も、低ノイズで豊かな階調の映像が得られるということです。ここが、G40の魅力なのです。暗い場所でも、美しい高画質な映像が撮れるというのは、筆者にとっては魅力的です。
画面は、どちらもオートモードで撮影した日没間がない駅前風景です。G20では背景のマンションはほとんど見えない暗さですが、G40では背景のマンションが見えます。G40は集光効率が高く、低ノイズで見た目に近い映像が撮影できています。
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