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『クロノス』中西哲生「僕がラジオを続ける理由」

朝のラジオ番組『クロノス』パーソナリティの中西哲生さんにAll About 「東京」ガイドであり、TOKYO FM出身のフリーアナウンサー・藤丸由華がインタビュー。インタビュー前編に続いて、後編でも中西さんにラジオの魅力をぞんぶんに語っていただきます。

藤丸 由華

執筆者:藤丸 由華

東京ガイド

TOKYOFM『クロノス』パーソナリティ中西哲生インタビュー

朝のワイド番組としてTOKYO FMをはじめとするJFN全国38局ネットで平日の6:00~9:00(一部東京ローカル)にオンエアしている『中西哲生のクロノス』。パーソナリティである中西哲生さんにAll About 「東京」ガイドでありTOKYO FM出身のフリーアナウンサー・藤丸由華がインタビュー。インタビュー前編に続いて、後編でも朝の人気ラジオパーソナリティにラジオの魅力をぞんぶんに語っていただきます。

インタビュー前編はこちらから

サッカー選手たちをサポートするパーソナルコーチとしても活動されている中西哲生さん。選手と一緒に体を動かすため、自身のトレーニングも欠かせないそう。しかし、多忙なため、『クロノス』生放送中も自身を鍛えることに余念がないようで…!?

中西哲生

中西哲生(なかにし・てつお):スポーツジャーナリスト。1969年9月8日、愛知県名古屋市生まれ。(公財)日本サッカー協会特任理事。TBS『サンデーモーニング』、テレビ朝日『Get Sports』などでコメンテーターを務める。毎週月曜日~金曜日、朝6時から9時まで、TOKYO FM『中西哲生のクロノス』が放送中



ラジオにはサッカーのヒントが山ほどある

藤丸:現役引退後もメディアや日本サッカー協会で、そして後輩の指導とサッカーと深く関わっていらっしゃいますが、「ラジオでの経験がサッカーに活きた」なんていうことはありますか?

中西:ありますね。ラジオでは番組にいいテンポ感がでるように、BGMや曲に合わせてしゃべりますが、このテンポがサッカーでも実に大事。サッカーを教える時、よく選手に伝えているのが「テンポを意識しないとプレーにもテンポ感がなくなるよ」ということ。助走でテンポをとることを大切に、と言っています。例えば、トラップする時に最初の1歩目がいきなりトラップする足になっちゃうとミスしやすい。でも、その前にテンポを整えるようにステップを入れると、ボールを受ける時にはもう体が硬直していないわけです。だからテンポを意識してからボールを受ける。自分の中でテンポ感やリズム感を宿らせてからプレーするほうがミスは減るんです。これはラジオをやっていて気がついたことですね。ラジオにはサッカーのヒントが山ほどありますよ!

藤丸:確かに番組に流れるテンポを大切にしないと、パーソナリティとしてしゃべる上でもミスしやすいですね。

中西:逆に現役時代の反省がラジオに活かせていることもあって。ミスをしても「今度はミスしないようにしないと」と思わなくなりました。そう思うと逆にミスしちゃうので、いい意味で“鈍感力”を働かせています。取り返そうという意識も力みにつながるので良くない。それに取り返そうと思った後に残るものって、たいしたことないんですよね。ワールドカップの大舞台で、力んでシュートが決まるのかっていったらその方が決まらないですから。僕はやるからには必然でものを動かしていきたい。となると論理性が欲しい。良いプレーの再現性を高めるためには、ミスを恐れないとか、番組の中で今、自分は何を求められているかを考えたほうが、自然に自分のやるべきことが見えてきます。まぁ論理性と鈍感力の行き来をしているんですね(笑)。これまで7年間『クロノス』を担当してきましたが、「今日は完璧だったな」なんて思う日は1日もありません。毎朝、終わった後はスタッフに怒られていますし。今朝もディレクターに「今日はまあまあかな」って言われました(笑)。でも、考えてみれば、サッカーやっている時も完璧な試合なんてなかったんですよね。

実は生放送中に…トレーニングしています

藤丸:それにしても、サッカーとラジオの共通点って多いんですね。

中西:同時進行で色々しなければならないというのも、よく似ていますね。ボールを持っているのかいないのかも、しゃべっているのかしゃべっていないのかというのと同じだと思います。そうそう、僕は生放送中もバランスボールに座りながら話しているんですよ。

藤丸:(このインタビュー中も)座ってらっしゃいますね!さっきから気になってました。

中西哲生インタビュー

インタビュー中もバランスボールでトレーニング!


中西:同じ3時間ずっと同じ姿勢で座っていると身体に良くないだろうし、もしかするとエコノミー症候群になる可能性もあるかもしれない。このほうが体も鍛えられるでしょう。ラジオって「ながら」メディアですし。

藤丸:ラジオを聴く方は何かしながら=「ながら」ですけど、私なんてマイクに向かっている時、ひたすら一直線にしゃべってしまいます。

中西:僕はしゃべる方も「ながら」にしたほうがいいんじゃないかなって思っていて。それと今、なかなかジムに行く時間も取れないので生放送の3時間有効に使おうかと。楽しみながらやっていますよ。鍛えるといえば、台本を読む時もですね。僕は左目が“利き目”なんですけど、左目で読んでいる時に、あえて意識して右目で読むように変えたり、両目が“利き目”になるようなトレーニングもしてます。

藤丸:生放送しながらそんなトレーニングも!?

中西:右目の精度を上げるために、原稿で噛んじゃいけない大事なところは右目で読む、とか。両目を意識的にきちんと使えるようになることが、サッカーのプレーの上で大切だと選手にも教えてます。

藤丸:いやぁ…中西さんの生活、無駄な時間がないですね。

中西:無駄がないというか…例えば横浜F・マリノスの中村俊輔選手は、常にどうしたら自分が良くなるかを考えています。自分もこの仕事をしながら、もっと良くなるはずだと思ってやっているんです。あとは東日本大震災の経験が大きいですね。「生かされている」ってことをすごく感じました。

藤丸:東日本大震災の報道にはどういった形で関わられたんですか。

中西:震災当日の夜から7時間特別番組をやって、その後連日放送に携わりました。番組に送られてくるメッセージなどで、被災者の方々の声を間近に感じました…。放送では伝えられないような生々しい悲惨な事実もたくさん届いて、パーソナリティとして精神的に苦しくなりました。でも、逃げるわけにはいかないし、僕からの情報を頼りにしている被災者の方々と向き合いたかった。あの経験が今、ラジオに出て、テレビに出て、サッカーの仕事もしている自分には大きいんです。先週も福島の相馬市へ行ってきましたけど、震災で亡くなられた方々に手を合わせる時、いつも心の中で「あなた方がどうしても生きたかったこの1日を、僕は精一杯生きるように全力を尽くします。ベストを尽くします」って祈るんです。人生を1秒たりとも無駄にできないなと考えるようになったのは、あの震災から生きることについて深く考えるようになったことが関係しているかもしれません。

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