旅情を高めてくれるレトロなSL
景勝地やレジャー施設を訪ねることが旅行の最大の楽しみであることに変わりはありませんが、各スポットを移動するために利用する乗物も旅行気分を高めてくれることがあります。レトロ感覚を秘めたSLも素敵な選択肢といえるでしょう。交通のスピード化によって主要路線からは姿を消してしまいましたが、全国的には幾つかのエリアで今も走り続けています。埼玉県の北部を走る秩父鉄道では期日限定ですが、黒煙を巻き上げて走るSLのたくましい姿を見ることができます。熊谷・三峰口間を2時間余りで走るパレオエクスプレス
秩父鉄道では、毎年3月中旬から12月上旬の土日祝日他の日に、1日1往復のSLパレオエクスプレス号が登場します。熊谷と三峰口を結ぶ56.8キロを約2時間30分かけて走るのです。客車を引っ張るのは、1972年まで東北地方のJR路線で走っていたC58363型の蒸気機関車です。約2000万年前に秩父地方に生息していたと伝わる海獣、パレオパラドキシアに因んで列車名がつけられました。乗車前の僅かな時間に記念撮影
熊谷をSLが発車する前には、続々と乗客が集まってきます。乗客だけでなく、偶然出くわした人もSLを取り囲み、記念撮影が始まります。ベストショットを射止めるには、人の波に従って徐々に前に進み最前列に出たときに、すばやくシャッターを切らなければなりません。汽笛の音が鳴ると、一斉に客車に向かって走ることになります。次のページでは客車に乗り込み、沿線情報を紹介します。