朝の人気ラジオ番組『クロノス』パーソナリティ中西哲生インタビュー
TOKYO FMをはじめとするJFN全国38局ネットで平日の6:00~9:00(一部東京ローカル)にオンエアしている朝のワイド番組『中西哲生のクロノス』のパーソナリティである中西哲生さんにAll About 「東京」ガイドでありTOKYO FM出身のフリーアナウンサー・藤丸由華がインタビュー。 名古屋グランパスエイト、そして川崎フロンターレではキャプテンも務めた元Jリーガーで、現在はスポーツジャーナリストとしてテレビ・ラジオ・新聞など様々なメディアで活躍されている中西さんにとって、“ラジオ”とは?中西哲生(なかにし・てつお):スポーツジャーナリスト。1969年9月8日、愛知県名古屋市生まれ。(公財)日本サッカー協会特任理事。TBS『サンデーモーニング』、テレビ朝日『Get Sports』などでコメンテーターを務める。毎週月曜日~金曜日、朝6時から9時まで、TOKYO FM『中西哲生のクロノス』が放送中
毎日40ページの台本、でもあえて「しっかり読まない」
藤丸:『クロノス』を担当されてもう7年!慣れましたか?中西:7年やっていて慣れていないと問題ありますよね(笑)。でも、あえて慣れないようにしている部分もあります。起きるのは朝3時半で、これはツラい。慣れませんね。それから5時過ぎに半蔵門のスタジオに到着します。最初の頃は1時間半前に入っていましたが、だんだん情報処理能力が早くなり、自分のやるべきことが絞られてきたので、この時間に落ち着きました。家で昨日のニュースをチェックしたり、スポーツの試合を観たりと情報をインプットして、スタジオでは40ページある台本に目を通します。
藤丸:3時間だと台本の厚さもそれぐらいになりますよね。「慣れたくない」というのはどんな部分で?
中西:ラジオもサッカーも一緒なんですよ。慣れて「このパターンだったらこう対応する」みたいになっちゃうとミスしやすい。だから僕は台本をすべて読み込むということはあえてしません。このコーナーは高橋さん(番組のパートナー・高橋万里恵さん)が中心に進行していくという場合、台本通り一言一句読んでしまうと僕のリアクションは予定調和みたいになって面白くない。だから高橋さんのプレゼンを聞きながら、僕はある程度自由にやるんです。それから台本に書いてあることは必ず、自分の言葉に変換してしゃべるようにしています。じゃないと自分の言葉でありながら自分の言葉じゃなくなってしまいますから。当然、正確な情報として伝えなくてはならない場合はカッチリ読みますが、いい意味“鈍感力”って言うか、予定調和にならないようにと思っています。
藤丸由華(ふじまる・ゆか):All About東京ガイド。1996年、 TOKYO FMにアナウンサーとして入社。サッカーなどスポーツ取材を得意とし、アテネ五輪や、日韓W杯、ドイツW杯の現地特派員を務める。現在はフリーアナウンサーとして、『Panasonic Melodious Library』(TOKYO FMをはじめとするJFN全国38局ネットにて毎週日曜日午前10時~10時30分に放送中)にレギュラー出演中
藤丸:朝の番組って1日の立ち上がりですから、ラジオ各局が相当力が入っている時間帯じゃないですか。私も局アナとしてのデビューが『クロノス』の時間のお天気レポーターでしたが、先輩たちに「責任重大だぞ」と常々言われて育ちました。そんな番組のメインパーソナリティをやらないかと言われた時のこと、覚えていますか?
中西:覚えていますよ。1月の4日。
藤丸:日付まで正確に覚えているんですか!?
中西:TOKYO FMの番組でピンチヒッターとして出演させていただいた後、プロデューサーから誘われました。それまでテレビのスポーツキャスターの仕事がメインだったんですが、生放送に慣れていたのも選んでもらえた理由かもしれない。テレビのスポーツコーナーの後って、必ず画面が切り替わってお天気コーナーなんですよ。だからスポーツコーナーって時間が決まっていて、その時間までに終わらせなきゃいけない。ラジオの生放送も同じで、「この時間までにトークを収めなきゃいけない」っていうのがあるし、特に『クロノス』は全国放送なので3時間の中で何十回と「ここまで」があるわけです。テレビでその「ここまで」に慣れていたのがプロデューサーに安心されたみたいです。自分も時間内にぴったり収めるの、好きですし。
藤丸:ええ!? 「ここまで」との戦いが緊張するのに!
中西:時間が余ったらアドリブでコメントを言って締める、頭を整理して話をつなぐ。それも最初からできていたのに驚かれましたけど、それまでにテレビで経験できていたことが大きかったと思います。例えばTBS『サンデーモーニング』は台本がないから、アドリブでのコメント力が鍛えられました。
ラジオに必死に電話をかけた少年時代
藤丸:テレビで培った色々なテクニックをラジオで活かせると思ったんですね。中西:そうです。それに子供の頃からずっとラジオは聴いていましたから。うち、テレビはほとんど見せてもらえない家庭だったんです。TOKYO FMの系列局である@FM(FM AICHI)もよく聴いていて、土曜日は学校から帰って『歌謡ベストテン』と『ポップスベストテン』を聴いて、その後、サッカーの練習、というのが定番でした。あとは…なんだろ? あ、地元・CBCラジオの『小堀勝啓のわ!Wide とにかく今夜がパラダイス』という番組も好きで、「早掛けテレフォン」っていうコーナーで必死にダイヤルを回してかけまくってました(笑)。一度、つながって番組に電話出演したこともあったり。
藤丸:それ、かなりのヘビーリスナーですね! メディアとしてラジオが身近だった、と。
中西:はい。そんな自分がまさか聴いていたTOKYO FMに出るとはね。特にフロンターレ時代は練習に行く車の中で坂上みきさんの番組を聴いていていたので、最初にお会いした時は…もう、感動しました。僕にとっては神です! 坂上さんや面白いパーソナリティの方って絶妙に毒を吐くじゃないですか。『クロノス』を始めて7年経ちましたけど自分がああいうことをできているか、ちょっと不安になります。
藤丸:いやいや、今朝も番組の中で「加齢臭がどうとか」って自分で自分に毒を吐いて笑いをとっていましたよ(笑)。
中西:照れていたら話になんないじゃないですか。ラジオは自分をさらけ出さないとダメですよね。それに気付けたからここまでやってこられたのかな。自分のパーソナリティを出すことによってリスナーが愛着を持ってもらえる。「ラジオパーソナリティ」とはよく言ったものです!