監査現場では、専門スキル×人間力で勝負!
監査は、膨大な量の取引を、短期間でチェックしていく作業ですから、公認会計士は独りで業務を行うのではなく、監査チームを結成し、チームで監査を行います。監査チームのなかで最も上席は、パートナーです。
パートナーは、主に決算書の分析を行ったり、監査チームのメンバーが実施した監査手続をレビューして問題点を把握します。
そして、問題のある取引を発見したときに、上場企業の社長さんに決算書の修正を迫る、というのがパートナーの最も大切な仕事です。
パートナーの次は現場主任(マネージャー)です。
マネージャーは、さらに下の監査メンバー(数人から多い時だと数十人)に分担を割り当て、彼らの業務をコントロールしつつ、問題のある取引を速やかにパートナーに報告します。
現場主任の力量次第で、監査の効率、有効さ、現場の雰囲気、全てが変わります。まさに監査チームのキーパーソンです。
現場主任の下で働くのが現場スタッフです。
Aさんは売上担当。Bさんは預金担当。というように一人一人に担当が割り当てられ、各人が会社の経理スタッフとやり取りしながら監査業務を進めていきます。
監査現場はまさに人間力が問われる場面です。
監査対象は決算書という書面ですが、監査手続は人と人とのコミュニケーションをベースに進んでいきます。
監査を受ける上場企業の経理スタッフも人ですから、監査チームのAさんは好きだけど、Bさんはあんまり好きじゃない、だからついついAさんの質問には丁寧に答えるし、資料も速やかに出す。Bさんは質問も的を得てないし、要求する資料もピントはずれ。対応するのも気が重い。ということが現実にはあります。
ときには経理スタッフが「○○さんのように信頼できる公認会計士さんなら」ということで、企業の内部事情を教えてくれたり、問題のある取引をこっそり教えてくれたり、ということもあります。
経理スタッフに好かれる魅力のある公認会計士であればこそ、監査手続は効率的で、なおかつ問題のある取引を素早く見つける「デキル公認会計士」になれるのです。
また、監査チーム内においてのコミュニケーションも大切です。特に経験の浅い現場スタッフは、近視眼的に数値チェックすることに躍起になり、重要でないことに無駄な時間をかけ、逆に大切なポイントを見落とすことがあります。
そんなときに、現場主任と円滑にコミュニケーションをとっていれば、すばやく軌道修正をして、効率的に監査手続を進めることができるのです。
意外かもしれませんが、公認会計士だから専門スキルはあって当たり前。それプラス、会社の人からも監査メンバーからも好かれる人間力が大切なのです。
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