上質で欠点が少ないヴォクシー/ノア/エスクァイア
「300万円以下」で最も売れているミニバンといえば、トヨタ・ヴォクシーで、ノアとエスクァイアの3兄弟を合わせると、登録車では不動のナンバーワンを誇るアクアに肉薄する。
純ガソリン仕様、ハイブリッド仕様を設定するが、このクラスではまず意外にも(?) 、走りの安定感や乗り心地が印象的。「どんぐりの背比べ」であること承知の上で比較すると、新型ステップワゴンは中速域以上でボディが上下・左右にヒョコヒョコと揺すられる感じがするが、ヴォクシー/ノア/エスクァイアは安定感があり、乗り心地もこのクラスでは上々といえる。
とくにハイブリッドになると、重いバッテリーの恩恵か、高速道路などで横風を食らった際の直進安定性も比較的高いのが美点だ。ただし、衝突回避・被害軽減ブレーキやアダプティブクルーズコントロール(ACC)、車線維持機能が設定されていないのが大きな課題で、「TSS(トヨタ・セーフティ・センス)」の設定が待たれる。
実際にACCを備えるホンダ・ステップワゴンとヴォクシー/ノア/エスクァイアの3兄弟を高速走行で乗り比べると、距離が長くなるほどその恩恵は明らか。大型連休などで帰省する際など、ロングドライブをする機会が多いならACCはぜひ欲しいところ。
ヴォクシー/ノア/エスクァイアの居住性は、同クラスで群を抜くわけではないが、トップクラスといえる室内高やドア開口部の広さ、低さを実現していて小さな子どもやお年寄りがいる家族に向けたミニバンらしい仕上がり。
サードシートはフロアが高く、シートサイズはやや小さめだが、小柄な人であれば大人でも実用になる。ただし、1列目では良好に感じる音、振動対策も2列目も3列目に座るとやや大きめで、もう少し洗練されれば同クラスをリードできるはずだ。
また、このクラスの例に漏れず、3列目までフル乗車するとラゲッジの奥行きは限られてくる。しかし、スーパーラゲッジボックスというフロアボード下の深さのあるサブトランクがかなり「使える」印象で、フロアボードは3列目に固定できるから荷室を「深く」活用できる。スーツケースなどの大きな荷物も飲み込むし、多くの荷物を天地方向に積み重ねることができる。
燃費では23.8km/Lを誇るハイブリッド仕様が同クラスで群を抜くが、ストップ&ゴーの多い街中ではハイブリッドの利点を感じさせる一方で、高速巡航ではガソリンが主役になるためそのメリットは薄まってしまう。
ヴォクシー/ノアなら車両価格300万円以下でハイブリッドが手に入るが、エコカー補助金と燃費の差(浮いたガソリン代)で元を取るには走行距離が必要になるのはほかのモデルと同じ。
ただし、高遮音性ガラスなどが装備されるハイブリッドの方が静かで上質な印象を受けるし、速度も距離も限定的だがEV走行モードなども用意される利点もある。コスト重視か上質な雰囲気や走りかは好みに応じて選べばいいだろう。
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