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1人目育児でママが陥りがちな3つの迷路とは?意識すべき1つのこと

育児は、1人目だとつい慎重になってしまいがち。今は1人っ子が多いので、さらに力が入ってしまいます。そんなママへ、1人目育児で陥りがちなNGパターン3つと程よく力を抜く必要性をお伝えしていきます。みな試行錯誤しながら、いくつもの迷路をさまようのです。

佐藤 めぐみ

執筆者:佐藤 めぐみ

子育てガイド

1人目育児中のママがさまよう、3つの迷路

1人目育児

2人目育児の力加減で1人目を育てられたら楽だけど、そうもいかないのが1人目育児

2人目のお子さんを育てているママからこんなことをよくお聞きします。

「1人目はやり過ぎていました」
「2人目はもう適当で……」
「それでもちゃんと育ってくれてたくましい」

1人目と2人目、同じママでも接し方が大きく変わるようです。

1人目のときは、みな試行錯誤しながら、いくつもの迷路をさまよいます。特に陥りやすい迷路をここで3つご紹介しましょう。
 
<目次>
 

1. ゴールのない迷路

育児に明確なガイドラインがあればママも分かりやすいですが、育児書はだいたいこんな感じに締めくくられています。

「お子さんのことをしっかり見て、臨機応変に対応しましょう」
「成長には個性があります。だから心配し過ぎないことが大切です」

これを読んで、「“個性”とか“臨機応変”とか、それが分からないから困っているの!」と思ったことありませんか? そんなとき、ママは自らのハードルを上げることで、それをカバーしようとしてしまいます。「私に全責任がかかっている。しっかり完璧にやれば大丈夫」と。

未知の世界で、個性に合わせて臨機応変に対応だなんて、本当に困ります。結局、どこまでお世話してあげたらいいのか分からず、朝から晩まで、時間があるかぎり奔走してしまうことに……。

■この時点でのママの心身の状態:
気疲れ、体力消耗、慢性的な不完全燃焼

 

2. 行き止まりばかりの迷路

1人目の妊娠期間中は、比較的穏やかに過ごしている方も多く、出産後の育児に思いを馳せながら、育児書を読んで過ごす方も多いもの。赤ちゃんの成長のこと、離乳食や栄養のこと、しつけ、教育のこと……。育児が本格的にスタートする頃には、頭は準備万端に。

しかし、産後、その知識を実直に実践しようとすると、思うようにいきません。本の上の知識を生身の人間に当てはめることの難しさに直面しつつ、なんとか押し通そうとすると、子どもに対してだけでなく、自分自身にも無理がかかります。

特に、「あれダメ、これダメ」とルールで動いてしまうため立ち往生してしまうというのはよくあるケース。例えば、「母乳じゃなくちゃダメ」「手作りじゃなくちゃダメ」など。抜け道のないマイルールで育児の自由度を失ってしまいます。

■その時点でのママの心身の状態:
息苦しさ、圧迫感。子どもも同様に窮屈な思いをしている

 

3. 隣の芝が青く見える迷路

人間は、周りをぐるっと見回して、自らの立ち位置を確認することがよくあります。育児も然りで、特に1人目は、我が子の成長が周りの子と同等かどうかが非常に気になります。もし、「昨日、ハイハイをしだしたの 」「トイレトレーニング始めたんだ~」などと聞くと、焦ってしまいます。

「成長には個人差がある」「個性を大切にしなくちゃ」と頭では分かっていつつも、気持ちは先走りし、子供に無理なプレッシャーをかけてしまうこともあります。

■この時点でのママの心の状態:
焦り、劣等感、母親としての自己嫌悪


この3つの迷路をお読みになって、当てはまるものはありましたか? 適度であれば、だれもが経験する1人目育児の迷路なので問題ありませんが、もし今、それが大きなストレスになっているとしたら、これ以上ひどくしないための対策が必要です。
 

なぜ1人目だと慎重になり過ぎてしまうのか?

1人目のときに力み過ぎてしまう理由、それは、初心者なのに重責を負うからです。
命を預かる仕事には色々あります。医師、看護師、保育士、介護士……。重責だけに、準備期間もたっぷりありますし、OJTで現場体験もできます。

一方の育児は命を預かる大仕事というのは同じ。でも、“現場体験”ゼロのまま、生まれたその日に、いきなり現場に出されます。
「母乳は出るのだろうか?」「泣いているけれど何でだろう?」「おむつかな、おっぱいかな?」もうママの頭の中は赤ちゃんのことでいっぱいいっぱいです。

そして、「この泣き方はおむつ」「抱っこしてほしいのね」と赤ちゃんの訴えが理解できるようになった頃には、成長は次の新たな段階へ。昨日まで出来なかったことが今日には出来るようになって、嬉しい反面、ハラハラしたり、やることが追いつかなかったり……。

慣れることを許されない、それが1人目育児なのです。
 

親子ともにハッピーな1人目育児にするために

私が日々のカウンセリングでよく感じるのは、頑張らないママを頑張らせる以上に、頑張り過ぎのママを頑張らなくする方が難しいということ。
「力を抜きましょう」というのは簡単ですが、それで本当に力を抜くことができるママはあまりいないでしょう。なので、そんな頑張り過ぎママが、「力を抜いてもいいかな」「その方が子供のため」と思える子育て心理のからくりを、ここで1つご紹介したいと思います。

1人目育児で疲弊してしまうママには、心の奥に、こんな思いがあります。
  • 赤ちゃんを泣かせてはいけない
  • 子どもにイヤな思いをさせてはいけない
  • もしそうなったら、自分は母親として至っていない
本当にそうでしょうか? いえ、そんなことはありません。泣きたい気持ち、イヤな思いは、子育て心理学的に言えば、成長に必要なものです。あっていいものなのです。
 
  • 「泣いたらおっぱいをくれた」 これで赤ちゃんはサインの出し方を学びます。
  • 何回も失敗してようやく完成した積み木のタワーで、子供は自己効力感を高めることができます。
世の中がスルスルと自分の思うように進んでしまったら、子どもの学びは少なくなります。だから恐れないでください、子供たちの不快な気持ちを。

ママに必要なのは、先回りして、子どもの不快な気持ちをぬぐいとることではありません。不快な気持ちを分かってあげることです。「泣いたら泣かせっぱなし」「イヤな思いを引きずったまま」、これが問題であって、泣くこと自体、イヤな思い自体を恐れることはありません。それを越えることで、子供たちは、また1つ学習できるのです。

だから、少しだけ力を抜きましょう。その方が、子供は学べる、ママも気が楽になる、といいことづくしです。

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※乳幼児の発育には個人差があります。記事内容は全ての乳幼児への有効性を保証するものではありません。気になる徴候が見られる場合は、自己判断せず、必ず医療機関に相談してください。

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