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リフォームが住宅価格に反映されない?

政府は「フローからストックへ」舵を切っています。つまり、新築住宅を大量供給することから、良質な中古住宅を活用していこうと、重視政策を切り替えたということです。その一環として、中古住宅などの不動産流通市場を活性化するために、有識者による「不動産流通市場活性化フォーラム」を設置し、具体策の提言を受けました。そのひとつが「建物評価手法の見直し」です。

これまでは、築年数を重視した基準で建物が評価されていましたが、自宅をリフォームするなどして建物が良好な状態の場合は、中古市場の売買価格や金融機関の担保評価に、その価値が適切に反映されるべきだとして、建物評価基準の見直しを提言したわけです。

リフォームによる価値向上を価格や担保価値に反映するため

では、住宅を売買する際の価格はどのような評価基準で決まっているのでしょう?

土地やマンションの価格については、「取引事例比較法」で算出するのが一般的です。これは、同程度の土地やマンションの複数の成約事例を参考に算出する手法です。一方、一戸建ての建物部分については、「原価法」で算出するのが一般的です。これは、同じ建物を建てた場合の費用を求めてから、築年数に応じて減価して算出する方手法です。特に原価法では、リフォームによって建物の使用価値が上がっていても反映されにくいという側面がありました。

つまり、従来の建物評価基準では、「リフォームしたのに、売るときに価格査定でそれが評価されなかった」という不満を生んでいました。一方、住宅を担保にお金を借りる場合でも、リフォームで十分長く使えるのに思ったほどの額が借りられないということにもなっていました。

そこでまずは、リフォームが価値に反映されにくい中古一戸建ての建物評価の手法を改善しようと、国土交通省が、有識者による「中古住宅に係る建物評価手法の改善のあり方検討委員会」を設置し、平成26年3月末に「中古戸建て住宅に係る建物評価の改善に向けた指針」をとりまとめました。

「中古住宅に係る建物評価手法の改善のあり方検討委員会」による指針

指針によると、評価の対象を「使用価値」として、個々の住宅の状態に応じて使用価値を把握したうえで評価を行うことを基本的な考え方としています。建物評価の改善の枠組みとしては、次の3点が主なポイントです。
  1. 住宅を基礎・躯体(くたい)部分と内外装・設備部分に大きく分類し、部位ごとに評価する
  2. 基礎・躯体については、使用価値に応じて比較的長期間の耐用年数を設定し、維持管理状態やインスペクション(建物検査)結果などを反映して評価する
  3. 基礎・躯体の機能が維持されている場合、内外装・設備については、使用価値が回復・向上するリフォームを実施した場合に評価に反映する
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「中古戸建て住宅に係る建物評価の改善に向けた指針」の考え方

つまり、建物を細かく部位ごとに分けて、基礎や躯体といった構造部分は長く使える質の良いものはもっと長く、リフォームで交換できる内外装や設備などは状態に応じて、それぞれを評価しようという考え方です。
それでは、この指針は具体的にどういったところで活用されるのでしょうか?

>>次からは、指針に沿って改訂される「価格査定マニュアル」について、詳しく見ていきましょう。