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デザイン検証:新国立競技場(4ページ目)

【石川 尚の気になるデザイン】シリーズ。計画白紙となった2020年東京五輪メイン会場:新国立競技場。国際デザインコンペで最優秀賞(ザハ・ハディド氏)の検証と審査委員長:安藤忠雄氏の記者会見を通して今後の進め方が、気になる、気になる。

石川 尚

執筆者:石川 尚

ファニチャーガイド

これからどうすれば良いか?
提案「新国立競技場、今後の進め方」

ここまで問題化した新国立競技場。国は、再検討関係閣僚会議を発足し、今年9月に新計画発表を公表した。

そこで気になる今後の進め方について考えてみた。

■ まず、ザハ・ハディド氏に依頼
再度一から案を募集し計画を固めるには今回の例からみても数ヶ月は要する。当初の計画案、経緯、そして現状の問題点を把握しているザハ氏に再度コスト面等の条件提示し案作成を依頼し、基本・実施設計の判断決定権も委ねてはいかがか。国際信用の面からも至極妥当な進め方ではないか。

■ 要望条件の絞り込みを
総工費が巨額になったのは特殊な構造(あのキールアーチ)と言われているが、最終案に残った他の2案も総工費では条件内に納まっていないとのこと。コンサートなどイベント会場施設要件などを含め要望条件を絞ってコスト削減をはかる。あれもこれもでは高くなって当然。

■ 基本設計・実施設計は同設計グループで
当初案から2年間携わっているわけだから今プロジェクトに関する様々なノウハウが蓄積されているはず。同設計グループで設計業務にあたることで無駄な労力と時間ロスがなくなることが考えられる。

■ 開かれた総合入札を
施工能力や精度を求める事は当然だが、国内に限らず海外の施工会社への入札公募ができないか。規制、施工上も含め諸問題があるとは思うが、入札制度では必ずコスト削減は出来るはず。

ここに述べた事柄は、今プロジェクトを傍観するのではなく、モノ創りのひとり、国民のひとりとしての提案である。とにかく、自分で決めておいて予算が合わないから全て御破算(ゼロベース)は、いかがなものか。

デザイン業務とは「無から有を生み出す行為」。もちろん、様々な条件をクリアして、だ。ザハ案がどうのこうのというつもりは毛頭ない。デザイン行為の中で多種多様の思いを巡らせ案を作成した者でしか気づかない、いや、だからこそ提示出来る発想・アプローチもあるであろう。


2015年7月28日、ザハ・ハディド氏の事務所は、日本政府と日本スポーツ振興センター(JSC)の見解に反論する声明「「建設費が高騰したのはデザインのせいではない」をオフィシャルサイトで発表し、日本政府に書簡を送った。

また、7月29日午前、政府は新国立競技場の建設計画で文部科学省の担当者だった久保公人(きみと)スポーツ・青少年局長(58)が8月4日付で辞職する人事を発表。久保氏は定年まで1年半以上残しており、建設計画の白紙撤回など一連の混乱を受けた更迭人事とみられる。

いずれにしても時間は限られている。
来年春の着工では、2002年日韓共同開催のW杯メインスタジアムである横浜国際総合競技場(日産スタジアム)の工期より短いと聞く。新国立競技場は、モノづくり大国・日本の真価が問われるプロジェクトであることは間違いない。

自ら戒め責任もとらず、同じメンバー、同じシステムで進めれば、同じ事を招く恐れがある。崖っぷちに立った新国立競技場、失敗はもう許されない。

**最後に五輪スタジアム過去の総工費と現状、そして新国立競技場のこれ迄の動きをまとめてみた。


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