宇宙・天体/星空にまつわる豆知識、トリビア

ブルームーンにまつわる誤解と真相(3ページ目)

1ヵ月間に2度満月が生じるとき、2度目の満月のことを俗に「ブルームーン」といいます。しかし「1ヵ月中の2度目の満月」という定義は、本来のそれとは違うようなのです。なぜ、誤解が定着したのか? ブルームーンの真相に迫ります。

執筆者:景山 えりか

1ヵ月中の2度目の満月――この定義には、2つの要素が含まれています。

1つ目は、「満月」という天文学的な要素。2つ目は、「1ヵ月に2度」という暦の要素です。

満月とブルームーンの違いとは?

まずは、満月について確認しておきましょう。

満月とは、地球を真ん中にして、月が太陽の反対側にいるときです。天体はつねに動き続けているので、1日の中でも少しずつ位置関係が変わります。厳密にいえば、満月は瞬間の出来事です。その瞬間は何時何分というように、時刻で示せます。そのため満月は、世界同時に起こります(ただし、地球は自転していますから、満月の瞬間を迎えるときに自分のいる場所が必ず夜になるとは限りません)。

一方、ブルームーンは日付が関係しているため、タイムゾーンによって異なります。

たとえば2010年1月。日本では1日と30日が満月となり、1月30日がブルームーンでした。ここで1月1日の満月の時刻に注目してみましょう。その時刻は日本時間(中央標準時)で午前4時13分。それではアメリカではどうでしょう? 日本のほうが半日以上時間が進んでいますから、アメリカのカレンダーでは2009年12月31日が満月の日となり、2010年1月に満月が2度起きることはありませんでした(そのかわり、アメリカでは2009年12月に満月が2度ありました)。

天文現象である満月は地球規模で考えるため、時差には関係なく世界同時に起こりますが、そのときの日付は国や地域によって異なる場合があります。つまりブルームーンも、国や地域によって異なる可能性があるということです!

また、使用している暦によっても違ってきます。

日本では明治時代のはじめまで、月の満ち欠けを基準とする太陰太陽暦(旧暦)を使っていました。毎月第1日目(ついたち)は必ず新月という決まりだったので、翌月にかわるまでに満月は1度しか巡ってきません。「1ヵ月中の2度目の満月」なんてことはありえなかったのです。

ブルームーンは、月の満ち欠けの周期と日付のめぐりあわせによるもの。しかも、私たちがいる場所で太陽暦(新暦)が使われているからこそ起きることなんですね。

夜空に輝くブルームーン

青く輝く幻想的な満月を、ぜひ一度見てみたいものですね


2015年は7月31日がブルームーンに!

さて、2015年7月は、2日(木)と31日(金)が満月。31日はブルームーンにあたります。ブルームーンを直訳すると「青い月」。大気の状態によっては、青みがかった月が見られる可能性はゼロではありません。ですが、毎月巡ってくる満月を思い出してみると、青く見えたことなんてほとんどないような……。

英語には「once in a blue moon」という表現があって、辞書を引くと「ときたま」「めったに~ない」とあります。ここから転じたのか「ブルームーンはめったに起こらない幸運なこと。見ると幸せになれる」という言い伝えがあります。

普段は宇宙や天体にあまり興味がないという人も、ブルームーンという言葉のロマンチックさや、見ると幸せになれるという言い伝えをきっかけに、月夜を楽しんでみませんか? 何も考えずに、のんびりと月を眺める。そんな時間こそが、幸せを感じさせてくれるひとときとなるはずです。
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