「デロリスと修道院長になった気持ちで」との無茶振りに、ケリッサはご自分のサングラスをわざわざかけてくださって、このポーズ!
自分の気持ちが高ぶりすぎないようにするのが大変!
——メンケンさんは、「Sister Act」と「Haven’t Got a Prayer」は作るのに苦労したとおっしゃっていたけど、歌っていて難しいと感じますか。
ケリッサ 歌が難しいというより、この2曲は物語を語ることが難しいです。「Sister Act」はそこで何かが大きく変わる、革命的な曲だから。マギー ロンドン公演までは修道院長が歌う「Haven’t Got a Prayer」はなかった曲ですが、この曲なしにこの作品は想像できないです。修道院長の内面が見える、唯一の瞬間ですから。修道院長がすごく思いやりのない、偏った人になってしまって、彼女が堕ちるところが見えない。彼女は曲の中でいろんなことに疑問を投げかけます。自分の人生でやってきたこと、自分の能力、神の存在にすら疑問を持つ。堕ちるところまで堕ちてしまって、完全に崩壊してしまっています。きっと、曲の中でそういう強い感情をどう曲の中で表現するのか、メンケンさんは悩んだかもしれませんね。とてもいろんな思いが込められている、重いナンバーです。
——「Sister Act」と「Haven’t Got a Prayer」、この2曲はデロリスと修道院長、それぞれの葛藤を浮き彫りにし、人間を立体的に見せてくれます。演者として、苦労するシーンはどこでしょう?
マギー 一番最後のシーンは、自分の気持ちが溢れないようにするのが大変です。カーティスが銃を持って現れ、デロリスがあなたのことは全然怖くないなら撃ちなさいという。それ以降は本当に演じやすいです。なぜなら、感情が溢れてしまって、自然と芝居ができるから。逆に、感情が溢れすぎちゃって困るくらい。それって素晴らしいことですよね。でも、まだ私たちは歌わなきゃいけないの(笑)。気持ちが高ぶりすぎると声が出づらくなるので、そこは大変ですね。
ケリッサ 私も本番中には涙をこらえなければいけない時が、ままあるわ。それってランダムに起こるので、お!今日は来たなっていう時も。「Sister Act」と「Raise Your Voice」、そしてマギーと同じくラストシーンですね。このカンパニーは仲間意識がすごく高くて、それが舞台上で見える日もあって。日によっては感情が高ぶりすぎて、ウワーってなっちゃう。
マギー ただ、観客の皆さんに伝えるということに関してはこの作品は構造が素晴らしい。どの瞬間を切り取ってもお客さんに感じてもらいたいことが上手く描かれているので、私たちはとても楽なんですよ。
——日本版でデロリスを演じている森公美子さんも、最後のシーンは涙が出てくるっておっしゃっていましたよ。
マギー わかるわ。
ケリッサ 私たちと同じね。
——最後、感情の長い旅の果ては、開放感も格別?
マギー 特に、修道院長はね(笑)。最初の2時間半は、怒鳴りつけて、怒って。それがラストにはキラッキラの衣裳を着て、踊って歌って、もう最高なのよ!
——しかしバックステージで衣裳を見せてもらったら、厚いし重い。あれで歌って踊るのは本当に大変かと。暑そうだし。
マギー ストーンが付いている衣裳は特に。
ケリッサ でも、もう慣れたわ。おかげで体力がつきました(笑)。
——すごく素朴な質問をひとつ。マリア像が象徴なのはどうして?
マギー 修道院長としてお話ししましょう(笑)。ここは「クィーン・オブ・エンジェルズ」修道院だからです。聖母マリアを祀っているんですね。シスターたちの名前にみんな、メアリー(Mary)がついているのも、マリア様に由来しています。
ケリッサ デロリスも「シスター・メアリー・クラレンス」でしょ。
——さすが、修道院長様!ありがとうございました。
【公演情報】
ブロードウェイ・ミュージカル『天使にラブ・ソングを…(シスター・アクト)』
2015年7月15日(水)~8月2日(日) 東急シアターオーブ
当日券あり