牛のような馬?
フシギな模様を持つ「ブチコ」とは……
サラブレッドの毛色はいろいろあります。一般的なのは「鹿毛(かげ)」と呼ばれる茶褐色の毛色で、それに黒みが増すと「黒鹿毛」などと呼ばれます。また、鹿毛より明るい茶色、ときには金にも見える「栗毛」などもあります。このような形で、日本のサラブレッドは全8種類の毛色に分かれています。
その中で、もっとも珍しいのが「白毛」。生まれたときから真っ白で、さらに肌がほぼピンクの馬のことを指します。競馬場に行くと白っぽい馬を見ることもありますが、あれらは正しくは「芦毛(あしげ)」という毛色で、グレーや黒が混じることもしばしば。一方の白毛は、とにかく生まれた時から真っ白なのです。
現在、その貴重な白毛のサラブレッドが話題を振りまいてます。ただしその馬、白毛なんだけどなんか違う。白毛と聞いて白馬の王子様的な白毛馬をイメージした方、ごめんなさい。今、話題を振りまいている白毛馬は、こんな毛色なのです。
どうでしょうか、体に茶色い“ブチ”が入った白毛馬。ある意味では、牛の要素をふんだんに取り入れた馬。この馬こそ、競馬界のカワイイ系代表として人気を集めるブチコ(牝3歳)なのです。
白毛ファミリーから誕生したブチコ
グッズも販売され、人気は上がる一方
ブチコはまだ競走馬としては若い3歳で、デビューしたのも昨年の10月。最初は芝のレースに出てなかなか勝てませんでしたが、その後、砂主体のダートに出ると2連勝。見た目だけではない、能力の高さをも見せ始めました。以降は白星から遠ざかっていますが、それはオス馬の一線級と戦っているから。しかも、その中で力を見せて頑張っているのです。
たとえば、6月21日に行われたユニコーンS(ダート1600m/東京競馬場)でも、オス馬の強豪相手に途中から先頭を奪って果敢なレースを見せました。結果は5着でしたが、競馬場は大いに湧いたのでした。
ユニコーンSのレース映像(ブチコはオレンジ帽の13番)
実を言うと、ブチコの母シラユキヒメも白毛馬。こちらは全身真っ白でした。そしてそのシラユキヒメが生む子は、母そっくりの白毛馬が多いんです。シロクン、ホワイトベッセル、ユキチャン、マシュマロ、ブラマンジェ。これらの子達も、みんな母と同じく真っ白の白毛馬。
しかし、その次に生んだ子馬は、白毛にブチ模様が入っていました。その模様から、この子馬は“マーブルケーキ”という名前になりました。そして、その次に生まれたのがブチコ。ブチコも、姉のマーブルケーキと同じく体にブチ模様が……。そしてこちらは、姉とは正反対とも言えそうな、“ブチコ”という印象的な名前が付けられたのです。でも、ブチコという名前は愛嬌があっていいですよね。
ちなみに、ブチコがレース前のパドックに現れると、ブチコを引くスタッフの方が「ブチコファッション」に身を包んでいるのも特徴のひとつ。あるレースではシャツがブチ柄、あるレースではネクタイがブチ柄……といった具合に、ブチコファッションを見るのも毎回の楽しみです。1枚目の写真も、よく見ると、引いているスタッフの方のベルトがブチ模様になっているのです!
さらにさらに、JRAからは、ブチコのイラストが描かれたバッグやクリアファイル、ボールペンなどのブチコグッズも販売されています。これもファンにはたまらないですね。
なお、ブチコはただいま秋に備えて休養中。復帰の際には、ぜひ競馬場で生ブチコを見てもらいたいと思います。