東京都では毎年秋に「捨て看板等の共同除却キャンペーン」を実施しています。他の道府県でも同様の活動が行なわれているケースは多いでしょうが、東京都の結果をみると……。
2014年の期間中に除却された違反広告物(はり紙、はり札、立看板、広告旗など)は2,907枚にのぼり、そのうち2,438枚(83.9%)を不動産業が占めています。他は金融業が2.9%、風俗営業が2.4%ですから、不動産業がいかに突出しているか分かるでしょう。
近年では2012年の7,527枚がピークで、このときは不動産業が90.1%を占めていました。それと比べれば2014年の枚数はだいぶ減った感じもしますが、不動産業の割合は依然として高いままです。
毎年、同じ時期に除却キャンペーンを実施することが分かっていながらこの結果ですから、他の季節にはもっと多くの捨て看板などが掲出されているかもしれません。
不動産の仲介業者や建売住宅の分譲業者などでは集客に苦労するケースもあるため、「綺麗ごとを言っていたら飯が食えない」 「背に腹はかえられない」 という理由もあるでしょうが、業界のイメージ悪化は長い目でみればマイナスでしかないでしょう。
不動産業界の団体ではかなり以前から、捨て看板等の自主規制ルールをつくっています。東京都の場合には、共同除去キャンペーンの協力団体として公益社団法人東京都宅地建物取引業協会、公益社団法人全日本不動産協会東京都本部が名を連ねているわけですが、長年かかってもなかなか改善していないのが実態です。
インターネットの普及によって営業スタイルを大きく転換した不動産業者がある一方で、旧態依然としたやり方を続けている不動産業者も少なくないでしょう。違反広告物を掲出する業者はほんの一部だとしても、業界全体のイメージが良くなるためには、まだ長い年月が必要なのかもしれません。
>> 平野雅之の不動産ミニコラム INDEX
(この記事は2008年12月公開の「不動産百考 vol.25」をもとに再構成したものです)