ニキビ治療薬に8年ぶりの新薬「ベピオゲル2.5%」が登場

8年ぶりに登場した新薬「ベピオゲル2.5%」

8年ぶりに登場した新薬「ベピオゲル2.5%」

日本人の90%以上が経験している皮膚疾患「ニキビ(尋常性ざ瘡)」ですが、日本の保険診療で行える範囲の治療は海外に比べてとても遅れています。

今回、数年ぶりに新しいニキビ治療薬として「ベピオゲル2.5%」(一般名:過酸化ベンゾイル[BPO])が厚生省より認可を受け、今年の4月より処方が可能となりました。

さらに、過酸化ベンゾイルと抗菌薬であるクリンダマイシンが配合された「デュアック配合ゲル」(クリンダマイシン・過酸化ベンゾイル配合ゲル製剤)も今年の3月に製造販売が承認され7月17日からに処方が可能となりました。

今回はこのベピオゲル2.5%について少しご紹介させていただきます。

ベピオゲル2.5%とは

ベピオゲルの主成分である過酸化ベンゾイル(BPO)は、海外では1960年代から広く使われているもので、欧米のニキビ治療ガイドラインでは、標準的な治療薬として位置付けられています。

今まで日本での標準的なニキビ治療(保険診療)は、ディフェリン(アダパレン)と抗菌剤の塗り薬や飲み薬を併用し、炎症が落ち着いてきたらディフェリンでニキビを予防するというものが中心でした。

今回、ベピオゲルの登場により治療の選択肢が拡がり、それはまた、後に述べる耐性を作らずに、長期間にわたり使用できる薬と捉えることができるでしょうか。

ベピオゲル2.5%の特徴

  1. ニキビの原因菌(アクネ菌など)が増えるのを抑える
    → 抗菌作用
  2. ニキビの原因となる毛穴のつまりをなくす
    → 角質剥離作用

(1)抗菌作用
炎症のあるニキビ治療には、塗り薬や飲み薬の抗菌剤を用います。しかし近年、欧米を始めアジアや中南米で、この抗菌薬を長期に使用することによる耐性が大きな問題となっています。

国内では現在のところ、欧米諸国ほど耐性菌が増えているという報告はありませんので、抗菌薬による治療でもしっかりと効果が期待できます。しかし、今後日本でも耐性菌が増えてくることが考えられます。

そこで登場するのがベピオゲルの主成分である過酸化ベンゾイル(BPO)。これは強力な酸化剤であり、分解により生じたフリーラジカルがアクネ菌を直接攻撃すことで抗菌作用を発揮します。つまり抗菌薬ではないので、耐性菌は生じないという訳です。実際に、すでに長く使われている海外でも、BPOを使うことによって耐性菌が出現したという報告は今のところありません。

(2)角質剥離作用
もう一つ、ニキビ治療に欠かせないお薬にアダパレン(ディフェリン)があります。毛穴のつまりを取り除くことでニキビを出来づらくする点がBPOとアダパレンの共通点です。しかしその効き方に違いがあり、少し難しくなりますが、アダパレンは顆粒細胞が角質細胞になるのを抑えることで角質層を薄くし、毛穴のつまりをなくします。一方、BPOは角質細胞同士の結合をゆるめることで角質を剥がれやすくし、毛穴のつまりをなくします。つまり、違うアプローチで敵を退治する訳です。

なので、海外では併用するとより効果があるとの報告も散見されました。そして実際来年には、BPO/アダパレンの合剤も登場する予定だそうです。

ベピオゲル2.5%ディフェリンの違い

この2つの薬の違いや使い分けについてもう少し。どちらも毛穴のつまりをなくすニキビ治療には大切なお薬となりますが、最大の違いはベピオゲル2.5%(BPO)には抗菌作用があるということです。

そのため、炎症のない白ニキビにのうちから治療を開始するときはディフェリンを、炎症のある赤ニキビが主体で治療をするときはベピオゲル2.5%が適しているかもしれません。

どちらとも使い始めに皮膚にヒリヒリ感や赤みが出ること、乾燥することなどの刺激症状が出ることが多いのですが、ベピオゲル2.5%の方が皮膚症状の出る確率が少ないようです。今までディフェリンが使えなかった方も試してみたい薬ですね。

ふたつを上手に使い分けることで、治療の幅が拡がるとよいと思います。

ベピオゲル2.5%の注意

もちろんお薬ですので注意する点もいくつかあります。

  • ベピオゲルの成分に対し過敏症を起こしたことがある方は使用できません
  • 眼、眼の周り、口唇、その他の粘膜や傷口には使用しないでください
  • 使い始めて1ヶ月以内に出ることが多い皮膚症状として、ヒリヒリ感、皮膚が赤くなる、皮膚が薄く剥がれる、乾燥などがありますので、医師の指示に従って正しく使用してください
  • 漂白作用があるため髪、衣服などにつかない様に注意してください
  • ベピオゲル使用中は、紫外線は避けてください
  • 涼しいところに保管してください

ニキビは瘢痕になってしまうと治療がとても難しくなります。ニキビで悩んでいる方はまず皮膚科で相談し、最適な治療を見つけてくださいね。


■参考資料
  • 尋常性ざ瘡治療ガイドライン 日本皮膚科学会ガイドライン 日皮会誌:118(10),1893―1923,2008(平20)
  • 皮膚科診療プラクティス ニキビ治療の技法 分光堂
  • ベピオゲル2.5%|マルホ株式会社
  • ディフェリン|シオノギ製薬
  • H.P.M. Gollnick, Z. Draelos, M.J. Glenn,et al.:Adapalene–benzoyl peroxide, a unique fixed-dose combination topical gel for the treatment of acne vulgaris: a transatlantic, randomized, double-blind, controlled study in 1670 patients.British Journal of Dermatology.,161:1180-1189,2009
  • その他
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