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なぜ『まれ』は『あまちゃん』になれないのか

4月スタートのNHK朝ドラ『まれ』。2年前にオンエアされた『あまちゃん』と同じく、現代に生きる若い女性の主人公が夢を追うというストーリーです。二作にはいくつかの共通点もあるのですが、どうも『あまちゃん』オンエア時と比べて『まれ』は盛り上がりに欠ける印象も。その理由を演劇ガイドが分析します!

上村 由紀子

執筆者:上村 由紀子

演劇ガイド

2015年4月にスタートしたNHKの朝ドラ『まれ』。2年前、社会現象にもなった『あまちゃん』と同じく、NHK東京制作の現代劇……なのですが、視聴率も含めてちょっと定まってない感があるのはなぜでしょう?今回は演劇ガイドがプチ小姑目線で『まれ』と『あまちゃん』について考えてみたいと思います。

『まれ』と『あまちゃん』
二つの朝ドラの共通点

まずは二作品の共通項から

舞台で活躍する出演者が多数

『あまちゃん』に関しては【大ヒット! あまちゃんと演劇人のアツ~い関係!】にも書いた通り、舞台系俳優が山盛りのキャスティング。お一人を除いた大人キャストは舞台出身か、積極的に舞台に立っているメンバーばかりでした。

一方の『まれ』も、希の父・徹役の大泉洋さん、希が修行する横浜のフランス菓子店「マシェリシュシュ(ma chérie chouchou)」のシェフ・池畑大悟役の小日向文世さんをはじめ、田中裕子さん、田中泯さん、草笛光子さん、篠井英介さん、ふせえりさん、語りの戸田恵子さんらの舞台出身者に加え、常盤貴子さん、柳樂優弥さん、鈴木砂羽さん、りょうさんら舞台経験も多い俳優陣が多数出演。希の弟・一徹役の葉山奨之さんと、希の同級生で一徹と結婚したみのり役の門脇麦さんは今年2月の舞台『狂人なおもて往生をとぐ ~昔、僕達は愛した~』でも恋人役を演じています。

三部構成

『あまちゃん』は主人公・アキ(能年玲奈)が北三陸で海女や地方アイドルとして生活した後、本格的に芸能活動をする為上京。そして3.11を機に再び北三陸に戻るという三部構成。

『まれ』も夢を追うモードになった希(土屋太鳳)が能登の実家を出て横浜でパティシエの修業に邁進。現在横浜篇の途中ですが、この後希が故郷の能登に戻ることはNHKからも発表されています。

基本的には明るい展開

現代劇ということで、二作品とも「戦争」の影がなく、基本的には主人公が世相に潰されることなく夢を追うという構成。更にある意味伝説となった『純と愛』のように、不治の病や大火事、ありえない貧困が主人公を襲うこともなさそうです。

社会現象になった『あまちゃん』と
そこまで行かない『まれ』

4月の『まれ』放送開始直後から”似ている”と言われる事もあった二作ですが、視聴率的にも『まれ』が『あまちゃん』に大きく水をあけられているということはなく、更に舞台となる土地への経済効果も『まれ』が試算で66億円なのに対し『あまちゃん』は33億円。それなのに『まれ』に対する世の中の反応は『あまちゃん』オンエア時と比べてかなり低温度。

あれだけ劇中で「まんで」「~やわ」と能登の言葉を遣ってもそれらが流行る気配は一切ないし、輪島塗や能登の塩が大ブームになるという現象も見られません(『あまちゃん』のときは「じぇじぇじぇ」が流行語になり、まめぶが品切れ状態になったのに)。同じ年代の女優さんが主人公で同じ現代劇、更に共通点もありながら、なぜ『まれ』は『あまちゃん』と同じ”熱”を社会現象として生み出す事が出来ないのでしょうか。


次のページではその秘密に迫ります!

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